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第13回新型コロナウイルス感染症対策分科会提言
2020年10月29日
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/bunkakai/kensa_senryaku_13.pdf
濃厚接触者や感染リスクが高い場合を除く、無症状感染者に対する検査には専門家会議、分科会は一貫して反対してきました。
無症状感染者に対する検査への反対意見は2020年2月頃から見られました。
坂本史衣氏の記事とベイズの定理
新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの? 感染管理の専門家に聞きました
新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの? 感染管理の専門家に聞きました
「陽性的中率」というのは検査が仮に陽性だった場合に、どのくらいその結果が正しいか(=本当にCOVID-19にかかっているのか)を示す確率です。風邪のような症状を訴えても、COVID-19にかかっている可能性が現在のようにとても低い(=集団の中での有病率が低い)状況で検査をすると、COVID-19にかかっていないのに検査結果が陽性と出る人の絶対数も多くなることになります。
すると、陽性という結果が出た人の中で、本当に感染している人の割合である陽性的中率もかなり下がります。よって、本当はCOVID-19ではないのに陽性の検査結果が出てくる可能性も高くなります。
ーーまとめると、せっかく検査をしても、あまり精度は高くないから、その結果を100%信じるわけにはいかない検査ということになりますね。すべての感染例を拾うことには限界がある検査です。また、陽性の結果が得られても、そもそも日本国内の有病率(事前確率)が低いので、陽性的中率は低いと考えられます。
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/covid-19-sakamoto
坂本史衣氏 2020年2月26日
坂本氏は「事前確率が低い場合、陽性的中率は低いと考えられます」と主張します。
これは分科会が「感染リスク及び検査前確率が低い」場合の検査に反対している根拠となるものです。
しかし、事前確率が低い場合に陽性的中率が低くなるのは抗原検査等の特異度が低い検査です。
PCR検査は特異度が非常に高いので事前確率が低い場合でも陽性的中率には大きく影響しません。
(プライマーの設定等に問題がある場合はPCR検査であっても特異度は下がり、陽性的中率が下がる場合があります。しかし新型コロナPCR検査においてそのような現象は確認されていません)
この頃から「事前確率が低い場合には検査をすべきではない」という主張を補強するためにベイズの定理が登場します。
ベイズの定理が登場
この後、感染症専門医がベイズの定理の計算にお墨付きを与えます。
忽那賢志氏の記事
今日から新型コロナPCR検査が保険適用に PCRの限界を知っておこう
新型コロナPCR検査にベイズの定理を用いることの問題点は何度も指摘してきました。
忽那氏の記事の問題点を指摘しておきます。
今日から新型コロナPCR検査が保険適用に PCRの限界を知っておこう
検査は万能ではない
PCR検査は優れた検査ではありますが、どんな検査も万能ではありません。
病気の診断には臨床検査が行われますが、100%信頼できる検査というものはないのです。例えば、HIVのスクリーニング検査で陽性であったからといって、結果的にHIVではないこともあります(偽陽性)。
逆に、本当は肺結核なのに結核菌の検査で陽性にならないこともあります(偽陰性)。
私の身近な事例をご紹介いたします。
私が関西の病院で働いていた10年前くらいに当時小学生の女の子が虫垂炎になりました。
手術をした方が良いということになり、術前のルーチン検査として感染症のスクリーニング検査が行われました。
すると、この患者さんはHIV抗体が陽性という結果が出ました。
HIV感染症は主に性交渉で感染する感染症ですが、この患者さんはこれまでに性交渉の経験はありませんでした。母子感染もごく稀にありますが、その可能性は極めて低いと考えられました。
しかし、当時の病院の手術室の責任者は「HIV感染症の患者は手術しない!」と言い出し、この患者さんは別の病院に転送となりました。
転院先の大学病院で確認検査が行われ、HIVは陰性でした。
つまり、元の病院の結果は「偽陽性」であったということです。
そもそも「HIV感染症の患者は手術しない」という時点で時代錯誤も甚だしいのですが、この事例は「検査を正しく使えていない」ということが最大の問題です。
性交渉の経験のない小学生という時点でHIV感染症の可能性は極めて低いはずです。
しかし、とりあえず検査、ということで何も考えずに術前のルーチン検査を行うとこの患者さんのように「本当はHIV感染症ではないのに検査が陽性となる」事例が出てきます。
新型コロナウイルスのPCR検査でも偽陰性・偽陽性が起こり得る新型コロナウイルスのPCR検査でも同様のことが起こりえます。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200306-00166273/
2020年3月6日 忽那賢志氏
忽那氏が偽陽性の事例として挙げているのはHIV抗体検査です。
転院先の大学病院で行われた確認検査は遺伝子検査(PCR検査)です。
HIV感染症の検査
http://www.med.kagawa-u.ac.jp/~mrsa/hiv_aids_control/knowledge05.html
確認検査には、ウエスタンブロット検査(血液中の抗HIV抗体を検出する検査)と遺伝子検査であるRT-PCR検査(血液中のHIV遺伝子を検出する検査)があります。必ず、両方の検査を行い、いずれか一方あるいは両者で陽性反応が得られた場合にHIV感染と診断します。遺伝子検査であるRT-PCR検査では、HIVの遺伝子を直接検出する検査ですので、高感度にHIV感染を診断できます。特に、HIV感染早期の急性感染期におけるHIV感染症の診断に有用です。
香川大学付属病院
PCR検査は抗原検査や抗体検査の確認検査としても用いられるように非常に特異度の高い検査です。
忽那氏は「PCR検査でも同様のことが起こりえます」と書いていますが、確認検査として用いられるPCR検査でも同様に偽陽性が起こることの根拠は示されていません。
(PCR検査でも同様に偽陽性が起こるのであれば確認検査として用いることはできません)
今日から新型コロナPCR検査が保険適用に PCRの限界を知っておこう
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200306-00166273/
私は現時点で約15例の新型コロナウイルス感染症の患者さんを診療していますが、初回のPCR検査が陰性で、それでも疑わしいからということで行った2回目・3回目の検査でようやく陽性と判明した事例が少なからずあります。感覚的なものですが、咽頭や鼻咽頭のスワブを用いたPCR検査の感度は70%くらいかなと感じています。つまり30%の方は本当に新型コロナウイルス感染症なのにPCR検査で陰性と出てしまうということです。
2020年3月6日 忽那賢志氏
忽那氏がベイズの定理で用いる感度70%の根拠は「感覚的なものですが、咽頭や鼻咽頭のスワブを用いたPCR検査の感度は70%くらいかなと感じています」とあるように忽那氏の主観に過ぎません。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200306-00166273/
今日から新型コロナPCR検査が保険適用に PCRの限界を知っておこう
PCR検査の感度70%・特異度99.9%として1000万人(うち真の感染者4400人)を検査した場合
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200306-00166273/
この表の見方ですが、新型コロナウイルス感染症の患者さんが4400人いると仮定して、PCR検査で陽性と出るのが3080人です。残り1320人は「本当は新型コロナウイルス感染症なのに検査で陰性」と判断されます。
新型コロナウイルス感染症ではない人は999万5600人ですが、このうち998万5604人は陰性と判定されますが、9996人は「本当は新型コロナウイルス感染症ではないのに検査で陽性」と判定されます。
つまり、1320人の真の患者が見逃され、その10倍の1万人の偽陽性が生じるわけです。
2020年3月6日 忽那賢志氏
忽那氏がベイズの定理で用いた感度70%、特異度99.9%という数値には自らの主観以外の根拠はありません。
事前確率が0.044%という低い場合に新型コロナPCR検査の特異度が99.9%ということは有り得ません。
忽那氏と異なる仮定でベイズの定理を用いると
武漢の大規模調査では989万9828人を検査して陽性者は300人です。
陽性率は0.003%になります。
http://j.people.com.cn/n3/2020/0603/c94475-9697190.html
武漢の大規模調査で陽性者300人が全て偽陽性だと仮定しても特異度は99.997%となります。
忽那氏が行った計算を有病率0.044%、感度70%、特異度99.997%で行うと陽性的中率91.13%です。
PCR検査陽性 | PCR検査陰性 | ||
新型コロナウイルス感染症患者 | 3080 検査で陽性となった感染者 | 1320 検査で陰性となった感染者 | 4400 本当の感染者 |
非感染者 | 300 検査で陽性となった非感染者 | 9995300 検査で陰性となった非感染者 | 9999560 本当の非感染者 |
3380 PCR検査で陽性だった人 | 9996620 PCR検査で陰性だった人 | 10000000 検査を受けた人 |
偽陽性者が真の陽性者の10倍になるということは有り得ません。
PCR検査の原理を考えると事前確率が低いほど、特異度は100%に近づき、事前確率0%の場合(感染者がいない場合)、特異度は100%となります。
このように事前確率が低い場合、ベイズの定理を用いて陽性的中率を考える必要性はありません。
実際のデータで確認してみます。
新型コロナPCR検査特異度100%事例
ニュージーランド
NZ、行動規制を解除 世界に先駆け生活正常化
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60097650Y0A600C2EA1000/
ニュージーランド(NZ)政府は8日、新型コロナウイルスの感染抑制のため導入していた行動規制を解除すると発表した。8日午後11時59分(日本時間同日午後8時59分)から屋内外での集まりの人数制限やソーシャルディスタンス(社会的距離)規制を撤廃し、世界に先駆けて市民生活や経済活動をほぼ正常化させた。 第2波対策として、1日2千~3千件規模の検査体制は続け、外国人の入国禁止も継続する。
新型コロナ「勝利宣言」のニュージーランドにも新規感染者
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/post-93713.php
ニュージーランドの保健省は6月16日、国内で新型コロナウイルスの新たな感染者2人が確認されたと発表。これで24日間続いた「新規感染者ゼロ」の記録が途切れた。
1日2,000~3,000件の検査を続け、24日間陽性者が0だったと解釈できます。
従って48,000~72,000件連続で陽性者0、陽性率0%、特異度100%
福島県
5月10日~6月13日まで
検査数3211、陽性者0、陽性率0%、特異度100%
Jリーグ
Jリーグ、PCR検査実施の全3070件が陰性
https://r.nikkei.com/article/DGXLSSXK50675_W0A620C2000000?s=5
Jリーグは26日、全選手や審判員らを対象に実施した新型コロナウイルスのPCR検査で全3070件が陰性だったと発表した。
2020年6月26日 日本経済新聞
検査数3070、陽性者0、陽性率0%、特異度100%
サッカーJリーグ PCR検査2回目も陽性確認されず 新型コロナ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200708/k10012505051000.html
3182人が検査を受け、3054人が陰性となり、残りの128人は、検体の不足などで、8日までに判定が出ていないということです。
2020年7月8日 NHK
検査数3054、陽性者0、陽性率0%、特異度100%
Jリーグ、PCR検査で全件陰性
https://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK50718_S0A001C2000000/
Jリーグは2日、選手、スタッフ、審判員らを対象とした新型コロナウイルスのPCR検査で、9月25~27日に検体採取した全3237件が陰性だったと発表した。
2020年10月2日 日本経済新聞
検査数3237、陽性者0、陽性率0%、特異度100%
忽那氏は現実では有り得ない仮定(有病率0.044%で特異度99.9%)を用いることで有り得ない結論(真の患者が見逃され、その10倍の1万人の偽陽性が生じる)を導き出し、検査抑制を主張しています。
感染症専門医の忽那氏の影響力は大きく、ベイズの定理を用いて「事前確率が低い場合には検査をすべきではない」という主張は広く拡散されることとなります。
忽那氏の記事が拡散され、「ベイズ使い」が大量発生
忽那氏の記事が拡散
「ベイズ使い」が大量発生
神奈川県医師会
PCR検査の特性と限界
そこで仮にPCR検査の特異度は99%とします。このことは新型コロナウイルスに感染していない人が100人いたとき、99人が陰性と判定されるということです。ということは、本当は感染していないのに陽性と判定される人が1%存在することになります。
PCR検査の精度向上により、実験的に少ない症例での検討ですが、特異度が100%と称するものも出てくるようになりました。そこで多人数に臨床的に用いるという前提で100%に限りなく近い値として、特異度99.9%として計算してみます。たとえば人口を1000万人としたとき、全員がPCR検査を行えばどうなるのかを学んでいきたいと思います。感染症専門医の忽那賢志先生が情報発信をされています。「今日から新型コロナPCR検査が保険適用にPCRの限界を知っておこう」のなかに、具体的な計算値がしめされています。
物事を理解するために、数値を設定します。まず、計算上感染者数を設定しなければなりません。感染者数を4400人として計算します。
計算をしてみましょう。本当の感染者の方を4400人とします。感度を70%とすれば検査で陽性と判定される人は3080人になります。そうすると1320人もの人が偽陰性と診断されます。すると1320の人は本当に感染しているにもかかわらず見逃されて、自粛ということを守らないと感染源になってしまいます。さらに問題となるのは偽陽性者の存在です。本当の非感染者は999万5600人います。そして、このうち998万5604人は陰性と正しく判定されますが、実に9996人もの人が本当は感染していないのに陽性と判定されることになります。
整理すると、1000万人にPCR検査を行えば、1320人もの感染者が見逃されて、市中感染の元になってしまいます。そして、その10倍にあたる9996人の非感染者が感染者と間違って判定され、病院のベッドを占有してしまうことになります。特異性に関して、100%ということは現実的には考えられず、また99.9%などの極端なこともないのですが、感染者の体液などが一部混入や十分な検体採取が出来ないなどの問題や死菌までを拾い上げてしまう可能性をギリギリに排除した99.9%にしたところで、感度70%ということが感染症の実状の中では大きな問題となってしまうのです。
2020年5月20日 神奈川県医師会 コロナ通信
神奈川県医師会によるコロナ通信は忽那氏の記事を引用し、検査抑制に積極的に加担しました。
神奈川県医師会は記事の内容のどこがどのように間違っていたのかを明確にしないまま、形だけの謝罪を行い全ての記事を消去しました。
非常に不誠実な対応です。
厚生労働省
「PCRが受けられない」訴えの裏で… 厚労省は抑制に奔走していた
「PCR検査は誤判定がある。検査しすぎれば陰性なのに入院する人が増え、医療崩壊の危険がある」―。新型コロナウイルスの感染が拡大していた5月、厚生労働省はPCR検査拡大に否定的な内部資料を作成し、政府中枢に説明していたことが、民間団体の調査で判明した。国民が検査拡大を求め、政権が「件数を増やす」と繰り返していた時期、当の厚労省は検査抑制に奔走していた。
厚労省の資料は「不安解消のために、希望者に広く検査を受けられるようにすべきとの主張について」と題した3ページの文書。コロナ対策で政府関係者への聞き取りをしたシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」(船橋洋一理事長)が8日公表の報告書に載せた。
◆厚労省「PCRは誤判定が出やすい」
文書では「PCR検査で正確に判定できるのは陽性者が70%、陰性者は99%で、誤判定が出やすい」と説明。仮に人口100万人の都市で1000人の感染者がいるとして、全員に検査した場合、感染者1000人のうち300人は「陰性」と誤判定され、そのまま日常生活を送ることになる。一方、実際は陰性の99万9000人のうち1%の9990人は「陽性」と誤判定され、医療機関に殺到するため「医療崩壊の危険がある」とする。これに対し、医師や保健所が本人の症状などで「検査が必要」と判断した1万人だけに絞ると、「陽性」と誤判定されるのは100分の1に減る。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/61139
2020年10月11日 東京新聞
検査を受けられずに国民が苦しんでいる裏で、厚生労働省は「事前確率が低い場合には検査をすべきではない」という誤った主張を元に検査抑制に奔走しました。
厚生労働省は国立感染症研究所(感染研)に検査マニュアルの作成を指示し、そのマニュアルに従って衛生検査所や検査会社が検査を行います。
厚生労働省のやっていることを工業製品に例えると次のようになります。
発注元(厚生労働省)が発注先(感染研)に工業製品(検査)を発注。
しかし、工業製品(検査)の信頼性が低いと顧客(政府)に発注を控えるように奔放する。
2020年10月11日段階での全国の累積陽性者は88,888人です。
仮にPCR検査の特異度が99%であれば800~900人程度は偽陽性ということになります。
厚生労働省が本当に「PCR検査の特異度が99%」と考えているのであれば検査抑制に奔放するのではなく、検査マニュアルの再検討を感染研に指示し、検査方法の見直しを行うべきです。
厚生労働省の中にも意見の衝突があるのでしょう。
しかし、厚生労働省の活動は全て公費によるものです。
公費を費やして支離滅裂な事をしてはいけません。
参考: https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/2019-nCoV20200319.pdf
専門外の領域で浅い私見を展開する医師達
検査について
そう、新型コロナウイルスのPCRも定量検査なのです。ただ、閾値を超える、超えないで「陽性」「陰性」と判定はしていますが、実際には「陽性」結果にも色々あり、「めっちゃ陽性」とか「ギリギリ陽性」とかがあるのです。
ぼくは検査医学の専門家ではないので、このへんはお勉強して得た知識、いわば「にわか」の知識です。間違いがあったら教えて下さいませ。
https://georgebest1969.typepad.jp/blog/2020/06/index.html
岩田健太郎氏
「ベイズ使い」となった医師達のほとんどはPCR検査を自らが行ったことはありません。
当然PCR検査の特異度の高さも知りません。
彼らはPCR検査の特異度を99%や99.9%という異常に低い数値に設定し、ベイズの定理を用い、現実では有り得ない結論を導き出し、検査抑制を主張します。
彼らは検査という専門外の分野に浅い私見を展開し、間違いを指摘されても意に介さないことがほとんどです。
大量遺伝子検査について
日本では20年以上前から日赤が全献血血液の抗体検査を行い、陰性検体に対して大量遺伝子検査(年間500万件以上)を実施しています。
献血は健常者から行われるため日赤の大量遺伝子検査は事前確率の非常に低い検査です。
日赤の大量遺伝子検査が可能となるのは遺伝子検査の特異度の高さに依るものです。
仮に遺伝子検査(PCR検査)の特異度が99.9%という非常に低いものであれば日赤は毎年5,000以上の血液を廃棄する必要が出てきます。
(私が確認した範囲では日赤の大量遺伝子検査で偽陽性事例が多発し、血液を大量廃棄したという報告はありません)
「ベイズ使い」となった医師達は何故安全に輸血が行えるのかを考えたことも無いのでしょうか?
日赤の検査と新型コロナの検査について検査実績の違いから、新型コロナPCR検査の特異度に疑義を呈する人もいます。
しかし、PCR検査の偽陽性の発生原因のほとんどは検体汚染(コンタミ)、検体取り違え等ヒューマンエラーによるものです。
これらは検査マニュアルに従い適切に検査を行えば回避できるものあり実績を積み重ねて改善を期待するものではありません。
(PCR検査の感度は実績により改善が期待されるものです。プールサイズの変更、複数検体を用いての検査等)
現実では有り得ない仮定
身に覚えがないPCR陽性は「ほぼ間違い」であると考える根拠
「PCRの精度がそんなに低いはずはない」という意見もあるでしょうから、ここでもあえてPCRを過大評価して、感度90パーセント、特異度99.9パーセントと仮定してみましょう。事前確率0.01パーセント、PCRは感度90パーセント、特異度99.9パーセント。そう仮定して、ベイズの定理の数式に当てはめて事後確率を計算すると、どうなるか。
答えは8.3パーセントです。
つまり、陽性と判定されたその人が新型コロナである可能性は8.3パーセントしかありません。事前確率が0.01パーセントだったとき、陽性という結果は90パーセント以上の確率で間違っているわけです。
https://gentosha-go.com/articles/-/34029?page=2&per_page=1
2021年6月9日 岩田健太郎氏
岩田健太郎氏は事前確率0.01%でPCR検査の感度90%、特異度99.9%という仮定を行っています。
これは適切な仮定なのでしょうか?
実際の数字を用いて確認します。
検査数を100万件とすると結果は次のようになります。
陽性検体 100
検査で陽性となった感染者(真陽性) 90人
検査で陰性となった感染者(偽陰性) 10人
陰性検体 99万9,900
検査で陽性となった非感染者(偽陽性) 1,000(999.9)人
検査で陰性となった非感染者(真陰性) 99万8,900人
PCR検査の原理を考えると 新型コロナウイルスPCR検査の偽陽性は検体汚染(コンタミ)、検体取り違え以外は考えにくいです。
注意が必要なのは新型コロナPCR検査の偽陽性の発生は陽性検体の存在に依存するということです。
検体取り違えによる偽陽性
新型コロナウイルス感染症に係る検査結果の取り違えについて
新型コロナウイルス感染症の感染者に係る12月22日報告分で、沖縄臨床検査センターにおいて、4人の方の検査結果が間違っていたことが判明しました。具体的には、陽性2件が陰性、陰性2件が陽性だったとのことです。
https://www.city.naha.okinawa.jp/nahahokenjyo/kansensyou/KSOU002202012.html
当然ですが陰性検体どうしを取り違えても偽陽性とはなりません。
仮に全陽性検体を取り違えたとしても陽性検体数が100ですので偽陽性が1,000発生することは有り得ません。
検体汚染(コンタミ)による偽陽性
新型コロナウイルス感染症の検査結果の誤りについて
1 経過○ 4月11日(土曜日)、衛生研究所においてPCR検査を実施し、28名の方を陽性と判定し、記者発表を行った。
○ 本日、検査結果について疑義が生じたため、再度検査を実施した結果、28名中、陽性者は4名であった。
○ 28名中、「陰性」にもかかわらず「陽性」と判定とされ新たに入院された方は6名であった。
2 原因衛生研究所の検査において、遺伝子の抽出工程において、陽性者の検体が飛散し、他の検体を汚染したことによるものと考えられる。
https://www.pref.aichi.jp/site/covid19-aichi/pressrelease-ncov200412.html
当然ですが陰性検体で陰性検体を汚染しても偽陽性とはなりません。
100の陽性検体で1,000の偽陽性を発生させるためには陽性検体1検体あたり10検体汚染させる必要があります。
陽性検体がほとんど存在しない(陽性検体出現率0.01%)状況下で陽性検体が出現する度に平均10検体コンタミさせて、それに気づかないのは至難の業です。
マニュアルに従い適切に検査を行えばこういうことは起こりませんし、学生実験でもここまで酷いことにはなりません。
岩田健太郎氏が勤務する神戸大学附属病院の検査室では1検体あたり10検体コンタミさせるような杜撰な検査を行っているのでしょうか?
(私は岩田氏の仮定が滅茶苦茶であると考えますが・・・)
報道されている偽陽性事例を取り上げて「やはり偽陽性があるのではないか」と騒ぐ人がいるかもしれませんが、わざわざ報道されるということは非常に稀な事例であるということです。
検査所がマニュアルに従い検査を行い、臨床医との連携が取れていれば偽陽性事例が気づかれずに放置されるということは考えにくいです。
それでも偽陽性が気になるのであれば繰り返し検査を行えば良いのです。
(2回連続ヒューマンエラーで偽陽性になることは考えにくいです)
ベイズの定理で多くの人が真実に目覚める
医師以外でも忽那氏が拡散したベイズの定理によって多くの人が真実に目覚め、多くの「ベイズ使い」が発生しました。
医師以外でも「ベイズ使い」が発生
新型コロナ第一波を総括する
https://www.epochtimes.jp/p/2020/05/57044.html
しかし、今は多くの専門家がSNSで自ら情報発信をしている。ツイッターでは新型コロナウイルス感染症対策専門家会議にも出席している今村顕史医師や西浦博医師が積極的に情報発信をしていた。また、ツイッターでフォロワーを多く抱える影響力の大きい医師たちも、専門の医師たちを援護射撃した。EARLの医学ツイートや救急医Taka(木下喬弘医師)、峰宗太郎医師はその代表例である。また、これまではフォロワーが少なかったが、この援護射撃に加わってフォロワー数を伸ばした仲田洋美医師や萩野昇医師などもいる。
PCR検査拡充の弊害は、そもそも陽性と分かっても治療法がないこと、偽陽性や偽陰性などの検査精度の問題があることによるもので、上述の医師たちはこれらの論点を丁寧に説明していた。偽陽性・偽陰性がもたらす弊害は、ベイズの定理と呼ばれる理論で説明できる話で、私も大学のパターン認識の講義でいつも話す内容なので、それを素人にも分かりやすく説明する動画を作って微力ながら援護射撃に加わらせていただいた。
2020年5月25日 掛谷英紀氏
やみくもにPCR検査を広げるべきでない…これがその「基本計算」だ
感度99%検査で「陽性」で感染している確率は3.2%
たぶん、ほとんどの読者にとって信じがたいことだと思うので、これから検証していく。まず、前提となる条件だが。
1.感染率0.1%
=人口10万人当たり100人が新型肺炎に感染。1億人に対して10万人の感染者ということだが、現在報告されている日本の感染者数と比べて妥当な推計だと考えられる2.感度99%
=感染者100人に対して、99人を正しく陽性と判断(真陽性)。誤って陰性と判断される1人は偽陰性となる。例えば100人の感染者が保健所に行けば、99人が正しく陽性と判定され1人だけが誤って陰性と判断されるから精度が高いように見える。3.特異度97%
=感染していない100人のうち97人を正しく陰性と判断。3人は誤って陽性と判断される(疑陽性)、検査の正確性にあまり影響が無いように見えるのだが、これから述べるように、この部分こそが検査の正確性を決定づける重要ポイントである。さて、このデータに基づき「ベイズの定理」を使って、「本当の感染確率」を求めてみる。
略
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74751?page=2
結局、この検査で陽性と判断されるのは、本当の感染者99人+疑陽性者2997人=3096人となる。この全体の陽性者のうち本当の感染者は99人だから、99÷3096=3.2%となる。
つまり、無差別にPCR検査を行った場合、陽性者のうち本当の感染者は3.2%で、残りの「96.8%は非感染者」という信じがたい結果になるのだ。
2020年8月11日 大原浩氏
大原氏の記事を見ると計算によって得られる意外な結果が「真実に目覚めさせる」大きな要因となっているように思えます。
医師の特性
権威主義
医師ではない大原氏は特異度を97%と設定しています。
この97%という数字も根拠が無いのですが、医師がベイズの定理を用いる場合はほとんどが99%か99.9%です。
ベイズの定理は事前確率、感度、特異度を自由に設定できます。(設定の正しさを問わない場合)
「ベイズ使い」となった医師達が自由に設定できるはずの特異度を判で押したように99%や99.9%と設定するのは試験でカンニングをしたり、記事を無批判にコピペして拡散する習性が身に付いているからなのでしょうか?
「ベイズ使い」となった医師達の界隈では試験で優秀な生徒(感染症専門医)の答案をみんなでカンニングしたら、全員同じように間違えたという笑えない現象が起きています。
カンニングや無批判にコピペして拡散する人はそれだけ引用元を信頼しているということになります。
信頼の根拠は内容ではなく、人物の肩書きですので権威主義ということになります。
論文至上主義と仲間意識
早川氏の主張は科学者としては真っ当なものです。
しかし、この主張の前提として、その分野の科学者同士で厳しい科学的議論、科学的批判が行われる必要があります。
科学者同士でお互いの間違いを厳しく指摘し合わず、庇いあうような状況でこのような考え方を推し進めると閉鎖的で自浄作用の無い集団が出来上がります。
中部病院でのクラスター事例
県立中部病院で大規模クラスター発生の経緯とは 発端の患者、PCR検査せず入院
沖縄県立中部病院は1日の会見で、新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した経緯を説明した。発端となった患者は細菌感染症との診断で入院前にPCR検査を受けておらず、マスクをせずにリハビリ目的で病室外を歩き回っていたという。
患者は、5月12日に一般病棟へ入院した。その後、この病棟をコロナ対応病棟に転換することになり、患者たちを他の病棟に分散させていた24日に患者のコロナ感染が判明した。結果として他の病棟に感染が広がった。病院は改善点としてコロナ患者かどうかを問わずたんを吸引する際は窓を大きく開けて換気し、職員が高機能のN95マスクを装着すると決めた。入院患者については、全員PCR検査を受けてもらうようにしたという。患者のマスク着用は「注意喚起が不十分だったところがある」と認めた。
クラスターは5月24日から6月17日にかけて発生。死者17人は県内で最多だった。7月1日、新たに職員1人が関連の感染だったと判明し、感染者は患者と職員で計51人になった。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/779698
沖縄タイムス 2021年7月2日
高山医師が委員辞任を表明 専門家会議 クラスター発生の公表遅れを巡り
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/781547
県立病院を所管する県病院事業局は、病院側がクラスター公表の記者会見を取りやめたきっかけとなった同局の6月10日のメールに関し、高山氏の「公表基準を満たさない」とする助言が関係したと説明していた。
沖縄タイムス 2021年7月6日
高山氏の勤務する中部病院では発熱のある入院患者に検査を行わなかったためにクラスターが発生しました。
直接の責任は検査を行わなかった担当医にあります。
しかし、臨床医の判断で検査を行わずに新型コロナを除外できると考え、入院時に検査を義務付けていなかったことが一番の問題です。
院内規則の制定に高山氏ほどの人物が全く関与していなかったとは考えにくいです。
クラスター公表に関する件と合わせ、高山氏への批判は避けられないでしょう。
忽那氏は中部病院のクラスター事例に関しておかしな記事を書きます。
忽那氏の記事
医療従事者は新型コロナワクチン接種を義務とすべきか
ワクチン接種をしない医療従事者を含むクラスターの事例医療従事者のワクチン接種が進み、病院内でのクラスター発生は減少していることが厚生労働省の調査から明らかになりました。
これはワクチン接種を受けた医療従事者からの感染伝播のリスクが減ることによって、医療従事者だけでなく患者さんが感染するリスクも低くなったことが要因と考えられます。
海外でも、高齢者施設や病院でのクラスター発生リスクはワクチン接種により低下することが示されていますが、一方でワクチン接種を受けていない施設職員が感染源となりクラスターが発生した事例も報告されています。
国内でも先日、ワクチン接種を希望していなかった看護師のうち12人を含む51人が感染し、入院患者17人が亡くなるという痛ましい事例が報告されました。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210704-00246283/
2021年7月4日 忽那賢志氏
「国内でも先日、ワクチン接種を希望していなかった看護師のうち12人を含む51人が感染し、入院患者17人が亡くなるという痛ましい事例が報告されました」とあるのは中部病院のクラスター事例です。
このような書き方をするとワクチン未接種の看護師がクラスターの原因であるかのように受け取られかねません。
7月2日の沖縄タイムスの記事にあるようにクラスターの原因は発熱のある入院患者に検査を行わなかったからであり、感染源は検査を受けなかった入院患者です。
忽那氏は記事を引用した形式を取っていますが不適切な引用です。
※忽那氏の引用記事:ワクチン非接種の看護師12人が感染 沖縄の県立病院
(現在は消えています)
7月2日の沖縄タイムスの記事に「病院は改善点としてコロナ患者かどうかを問わずたんを吸引する際は窓を大きく開けて換気し、職員が高機能のN95マスクを装着すると決めた。入院患者については、全員PCR検査を受けてもらうようにしたという」とあるように一番の問題点は臨床医の判断で新型コロナを除外できると考え「入院患者に検査を行わなかった」ことであり、「看護師のワクチン未接種」ではありません。
高山氏を擁護する人達
中部病院のクラスター事例で「看護師のワクチン未接種」を強調し、高山氏を擁護する人達が続出します。
仮に患者さんがマスク装着困難だったのであれば、なおさら検査を省略してはいけません。
宮原氏の高山氏への愛情
宮原氏の高山氏への愛情は相当なものがありそうです。
宮原氏は世田谷区長の保坂氏に論文を書く事を要求します。
親しい者(仲間と認めた者)同士は庇いあい、集団外の者には自分達のルール(論文投稿)を押し付けて排除する。
このような集団に自浄作用を期待するのは無理な話でしょう。
忽那氏はベイズの定理を用いて「事前確率が低い場合には検査をすべきではない」という主張をしています。 (忽那氏はこの内容で論文投稿はしていません)
私が主張しているのは忽那氏の記事にある計算式の仮定がおかしいということです。
私が忽那氏を批判する場合、論文を投稿する必要は無いとは思いますが仲間意識の強い論文至上主義、権威主義の人達には伝わらないかもしれません。
忽那氏が検査抑制論の記事を書いた動機と記事の影響
他者からの働きかけ
忽那氏の記事が出たのは2020年3月6日です。
ちょうど新型コロナPCR検査が保険適用されるようになった日です。
忽那氏は他者(政治の世界?)からの働きかけにより、検査抑制のための記事を書いたのでしょうか?
「事前確率が低い場合には検査をすべきではない」と主張する感染症専門医の影響力は大きく、新型コロナPCR検査が保険適用されてからも新型コロナPCR検査数は劇的に増えることはありませんでした。
2020年4月頃は医師が必要と考える検査ですら、保健所に拒否され、全国で検査拒否が相次ぎました。
全国で相次いだ検査拒否
全国で313,475件の相談がありましたが、検査を実施したのはわずか12,595件(4.0%)
東京では41,105件の相談がありましたが、検査を実施したのはわずか964件(2.3%)
日本におけるPCR検査の拒否状況
たとえば3月18日のNHKの情報<ウイルス検査「拒否」全国で290件 日本医師会が調査結果公表>によれば、「医師が保健所に検査を依頼しても断られたケースが、26の都道府県で合わせて290件あった」とのこと。やはり医者が検査すべきだとどんなに言っても、保健所が検査をしてくれないというのは今も続いているように思われる。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/04/pcr_2.php
世界にも類を見ない検査抑制国へ
ベイズの定理で真実に目覚めた人が多数発生したためか、「PCR検査は意味がない」という記事や意見が溢れかえるようになりました。
順位 | 国名 | 人口100万人あたりの検査数 |
139 | スリナム | 141,553 |
140 | フィリピン | 139,354 |
141 | 日本 | 135,092 |
142 | ルワンダ | 129,250 |
143 | 台湾 | 121,431 |
https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries 2021年7月11日
日本は未だに発展途上国並みの検査数に留まっています。
(コロナ対策に成功している台湾は検査数は少ないです)
忽那氏栄転
コロナ禍で顔と名前を売った「感染症専門医」は本当に落ちこぼれなのか
https://president.jp/articles/-/45384?page=3
ここ1年、感染症専門医としてメディアでコロナ解説をしてきた国立国際医療研究センターの忽那賢志(くつな・さとし)氏は、約20年前、医学生の頃から自身のブログで「くつ王」というペンネームで発信していた。現在、政府広報のコロナワクチンCMに出演している。コロナ対策分科会座長の尾身茂氏などと並んで「感染症医のアイドル」的存在の忽那氏が先日、大阪大学大学院医学系研究科感染制御学講座教授に内定した。
2021年4月22日
忽那氏は何度も新型コロナPCR検査抑制論についての記事を書いたわけではありません。
本人はここまで新型コロナPCR検査抑制論が拡散するとは考えていなかったかもしれません。
しかし、たった一つの記事であっても感染症専門医の肩書きの持つ影響力は大きかったと考えられます。
歪められた日本の新型コロナ感染対策
新型コロナPCR検査の特異度は非常に高く、偽陽性はほとんど出ません。
当然ですが「感染リスク及び検査前確率が低い」場合に検査を行っても誤って偽陽性者を大量隔離してしまうということは起こり得ません。
無症状者に対する検査に反対する理由で筋が通るものはほとんどありません。
偽陰性を問題視するのであれば繰り返し検査を行えば良いのです。
医療リソース
医療リソースの問題を指摘する人もいます。
新型コロナが発生して間もない頃であれば仕方が無い面があります。
欧米のように感染爆発が起こり、大量検査が必要となり、医療リソースの確保が間に合わないというのであれば理解できます。
しかし新型コロナが発生し1年以上経ち、世界140位程度の検査数で医療リソース不足で検査ができないのであれば政府の責任です。
(政府の決定に影響を与えた人達の責任も大きいでしょう)
自民党、東京五輪の検査
自民党は全職員にPCR検査を行っています。
東京五輪では選手、スタッフに連日PCR検査を行うことが決定されました。
このような無症状者に対する検査を一般国民に行うことを頑なに批判する人達がいます。
費用対効果
自民党の検査や東京五輪の検査に反対ではなく、一般国民に対する無症状者検査にのみ反対するのであれば、反対理由として考えられるのは「お金」です。
「一般国民のために公費を費やすのがもったいない」と考える人達がいるのでしょう。
指定感染症から外すべきという主張にもそのような傾向が見られました。
マスク、消毒で他者への感染を確実に防ぐことができるのであれば、何故全国の病院でクラスターが多発するのでしょうか?
感染者が他者に感染させるのは勤務中だけではありません。
自らが感染していることがわかったことで感染者の家族、友人等への感染を未然に防ぐことができたはずです。
検査を行わなかった場合、感染者2人から何人が感染したかはわかりません。
仮に感染者2人が誰にも感染させなかった場合、それは運が良かっただけです。
感染者2人の発見(その2人が誰にも感染させない保証はどこにもない)と4億円を天秤にかけるような考え方を医師が行うのは間違っていると考えます。
政治家であれば費用対効果を考える必要はあるでしょう。
「一般国民に対して公費を費やすのがもったいない」と考えるのも一つの考え方です。
そういう考えを推し進めたいのであれば受け入れるかどうかは国民が判断しますので正々堂々と主張すべきです。
検査費用
検査費用に関してはプール方式の導入、唾液検体の採用等により1検体あたりの検査費用の削減は可能です。
いつまでも検査費用が高いままではありません。
無症状者に対する検査の必要性
新型コロナの特性(無症状感染者が存在し、無症状感染者からも感染する)を考えると無症状感染者をどのように捕捉するかが重要です。
感染が拡大し感染経路不明者が増えた場合、感染経路不明の無症状感染者も多数存在することになります。
感染経路不明の無症状感染者を放置するようではいつになっても感染は収束せず、何度も何度も緊急事態宣言が必要となります。
感染者と非感染者を区別することができる唯一の方法が検査です。
感染経路不明の無症状感染者を放置
無症状の方にPCR検査を拡大することの問題は?
https://note.stopcovid19.jp/n/n9d792324764a
感染した方を、効率よくみつけるには、次のような方法が有効です。
・発病した方を早く検査する
・感染者の濃厚接触者を見つけて、そこからの感染拡大を防ぐ
・接触者調査の精度を上げる
・患者数を減らし、保健所がしっかり接触者調査できる状況をつくる
コロナ専門家有志の会
分科会や専門家有志の会の「事前確率が低い場合には検査をすべきではない」という考え方は感染が拡大し感染経路不明者が増加した場合、感染経路不明の無症状感染者を放置することに繋がります。
無症状感染者からも感染することがわかっていますので、この人達を放置して良いはずがありません。
仮に分科会や専門家有志の会が感染経路不明の無症状感染者を放置しても良いと考えているのであれば、その根拠はクラスター対策の基になった押谷氏の理論であると考えられます。
https://www.jsph.jp/covid/files/gainen.pdf (押谷氏のスライド)
http://www.gaiko-web.jp/test/wp-content/uploads/2020/06/Vol.61_6-11_Interview_New.pdf
押谷氏は「クラスターが起きなければ感染を抑制することができる」「小規模感染は放置しても感染は収束する」と主張します。
押谷氏の理論は破綻していますので、この理論を基に感染経路不明の無症状感染者を放置しているのでしたら、大きな間違いです。
「無症状感染者からも感染する」ということに頭を切り替えられない専門家はいいかげん退場すべきです。
検査もワクチンも必要
複数の対策を組み合わせることは感染対策として有効です。
検査だけを行えば良いというわけではなく、ワクチン(副反応事例に対する補償は必須)だけを行えば良いというわけでもありません。
感染対策の一手段である検査を抑制しながらの感染対策はハンデ戦のようなものです。
日本の常識は世界の非常識
日本では検査の中で最も特異度の高いPCR検査で偽陽性が多発するという誤った説が流布されたために無症状者に対する検査を行うかどうかの議論が未だに続いています。
内山先生が主張し続けているように抗原検査の有効活用も新型コロナ対策には必要ですが日本ではそこまで辿り着けません。
感染状況によっては検査をしないという選択肢もあります。
無いとは思うのですが欧米並みに感染爆発が起こった場合は有症状者のみに検査を行い、疑わしい接触者は全員隔離という対策も一つの選択肢です。
ところが積極的に新型コロナPCR検査抑制論を流布する人達(BuzzFeed等)により、まともな議論が不可能な状況となっています。
このような状況を生み出した忽那氏、岩田氏をはじめとする感染症専門医やBuzzFeedは責任を感じないのでしょうか?
おかしな言動を繰り返す医師には原因(他者からの働きかけ、仲間意識、論文至上主義、権威主義等)がありますので、医師全員がおかしいわけではありません。
twitterでも尊敬できる素晴らしい先生方が多数おられます。
新型コロナ対策に尽力しているまともな先生方、医療従事者の方々に対しては感謝と尊敬の念以外はありません。