コロナウイルス感染症

新型コロナPCR検査有害論者は何故、東京五輪の検査に反対しないのか?

新型コロナPCR検査の拡充は有害であると主張する人達がいます。
東京五輪では選手、スタッフに連日PCR検査を行うことが決定されました。
ところが新型コロナPCR検査有害論者で東京五輪の検査に反対している人を見かけません。
何故なのでしょうか?

東京五輪での1日の新型コロナPCR検査数

選手は入国後 原則毎日検査 東京五輪・パラ プレーブック更新

更新版は2月のものよりも検査態勢が強化されていて、日本への出国前、96時間以内に2回の検査を行うことや、入国後、選手のほか、コーチなど選手とともに行動する関係者は、原則として毎日、選手村などの専用のエリアで実施される検査を受けることなどが明記されています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210429/k10013004281000.html

リオデジャネイロオリンピックの日本選手は338人、監督、コーチ等は263人でしたので選手数の8割程度の数のスタッフが同行することになるでしょう。https://www.joc.or.jp/sp/games/olympic/riodejaneiro/japan/

東京五輪の選手数は11,090人ですので選手、スタッフ合わせて約2万人となります。
(日本同様、世界各国で選手数の8割程度の数のスタッフが同行すると仮定) https://fpcj.jp/wp/wp-content/uploads/2018/03/925b1d3020b2030cf4d7078b4c99dd3b.pdf

東京五輪は7月21日~8月8日までのスケジュールとなっています。
スケジュール上、競技を行っていない期間については近隣国以外は日本国内で調整しているでしょうから選手、スタッフだけでも1日最大約2万件の検査が必要になります。

ボランティアは10万人以上います。(都市ボランティアは縮小されるでしょう)
https://www.city-volunteer.metro.tokyo.lg.jp/jp/join/application/

ボランティアや大会関係者を合わせるとかなり少なく見積っても連日3~4万件の検査が必要となるでしょう。

2021年5月11日段階で東京都の1日の最大検査数は2021年1月8日の15,289件です。
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/

連日3~4万件の検査が可能でしょうか?

東京五輪で選手、スタッフに陽性者が出た場合

五輪選手の検査・感染対応を強化 「医療もたない」懸念

あわせて選手向けの医療施設の整備も進む。東京都中央区の選手村には、24時間態勢の仮設の発熱外来や検体採取センターを設置。9都道県の43会場には130カ所以上の医務室や、発熱者を一時隔離するエアテントなどを設ける。

感染が確認された場合の選手の入院先として、都内外あわせて20カ所以上の大会指定病院を確保する計画も明らかになった。軽症者や無症状者向けの療養施設として、選手村外の都内に約300室のホテル1棟も借り上げる予定だ。

https://www.asahi.com/articles/ASP4X74RTP4XUTIL026.html

2021年5月12日段階での東京都の自宅療養者は2,000人を超えています。
東京五輪のための隔離施設を確保するのは必要ですが、まずは都民を優先すべきです。
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

新型コロナPCR検査の特異度

東京五輪で行われる新型コロナPCR検査について考えます。
新型コロナPCR検査の特異度については日本が誇る感染症専門医を参考にします。

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画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 尾身2.jpg
「新型コロナPCR検査で事前確率が低いほど偽陽性が増える」説を検証 岩田健太郎氏が下記のツイートを行っていました。 今回、きちんとしたまとめを作り、終了とします。 https...

今日から新型コロナPCR検査が保険適用に PCRの限界を知っておこう

PCR検査の感度70%・特異度99.9%として1000万人(うち真の感染者4400人)を検査した場合

この表の見方ですが、新型コロナウイルス感染症の患者さんが4400人いると仮定して、PCR検査で陽性と出るのが3080人です。残り1320人は「本当は新型コロナウイルス感染症なのに検査で陰性」と判断されます。
新型コロナウイルス感染症ではない人は999万5600人ですが、このうち998万5604人は陰性と判定されますが、9996人は「本当は新型コロナウイルス感染症ではないのに検査で陽性」と判定されます。
つまり、1320人の真の患者が見逃され、その10倍の1万人の偽陽性が生じるわけです。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200306-00166273/
感染症専門医 忽那賢志氏
ベイズの定理を悪用し、コロナウイルスPCR検査の有用性を否定する医師達 以前ベイズの定理を用いて事後確率を計算する時の注意点を記事にしました。 https://tatsuharug.com/bayes...

忽那氏は事前確率0.044%で新型コロナPCR検査の特異度を99.9%と仮定しています。
岩田氏の「事前確率が低いほど偽陽性が多い」説を採用し、事前確率0%、特異度99%と仮定します。

事前確率0%、新型コロナPCR検査の特異度を99%と仮定し、1日3万件の検査を行った場合

仮に感染者が1人もいない場合でも1日あたり偽陽性者が300人程度出ます。
1週間競技を続けた場合、偽陽性者は2,000人を超えます。
常識で考えると五輪継続は不可能ですし、2,000人を超える偽陽性者の受け入れ先があるとは思えません。

(仮に特異度99.9%と仮定した場合でも1週間で偽陽性者は200人を超えます。偽陽性者の接触者も隔離が必要となりますので競技続行は不可能です)

人権侵害

たとえ、99.9999%でも議論は変わらない

「99%という特異度はあくまで説明用と思っていただいて結構です。ですが、リスク分析上はその程度で良いと思います。99.9%であろうが、99.99%であろうが議論は大きくは変わりません。特異度は100%ではない、ということが一番重要です」

「検査前確率(事前確率)が低い場合には、やはり偽陽性の可能性は特異度がかなり高くてもゼロではない。偽陽性では本当は感染していないのに隔離されてしまう、時に感染のリスクが上がるようなところへ入れられてしまうなど、より人権的に問題になる結果を招くこともある。いずれにせよ、どこまでも問題です」

https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/covid-19-pcr-false-positive
峰宗太郎氏

峰宗太郎氏の意見を参考にします。
東京五輪では仮に感染者が1人もいない場合でも特異度が99%であれば1日あたり偽陽性者が300人程度出ます。
99.99%でも1日あたり偽陽性者が3人は出ますので議論は大きく変わりません。

偽陽性で本当は感染していないのに隔離されて、競技続行不可能とされてしまいます。
これはアスリートに対する人権侵害であり、大問題です。

新型コロナPCR検査拡充を妨害してきた人達

東京五輪での選手、スタッフに連日PCR検査を行うことは五輪遂行を不可能とし、アスリートの人権侵害につながります。
偽陽性者が多数出て医療崩壊につながります。
従って東京五輪での検査に反対します。

新型コロナPCR検査有害論者であればこのような結論になるはずです。
ところが新型コロナPCR検査有害論者で東京五輪の検査に反対している人を見かけません。
何故なのでしょうか?

東京五輪では隔離施設を確保していますが新型コロナPCR検査の特異度を99%と仮定した場合、隔離施設数は不十分ですので医療崩壊につながります。
東京都での今までの1日の最大検査件数から考えると1日3万件の検査は検査機関への負担増加となり、都民にシワ寄せが来ます。

この人達は何故、東京五輪の検査に反対しないのでしょうか?
新型コロナPCR検査拡充妨害活動もあり、いつになっても日本の検査件数は増えません。

人口当たりの検査件数順位
142ボリビア
143トリニダードトバゴ
144ルワンダ
145日本

https://www.worldometers.info/coronavirus/#countries
(2021年5月12日段階)

IOCに対して

五輪コロナ検査は1日最大7万件…政府、IOCに関係者の削減求める

今夏の東京五輪・パラリンピックで、大会関係者向けの新型コロナウイルスの検査回数は1日最大で7万件以上と見込まれることが分かった。政府は国内の検査体制に負担とならないよう、国際オリンピック委員会(IOC)に対し、来日する大会関係者を抑えるよう求めている。

政府や大会組織委員会の推計によると、検査件数は開会式前日の7月22日が最大となる。都内の選手村などに宿泊する国内外の選手だけで約6200件に上る見通しだ。このほか主な内訳はコーチやトレーナーら約5600件、食事・清掃スタッフら約5400件、選手が立ち入るエリアで活動する人約4万件以上、メディア関係者約1万300件など。

https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20210511-OYT1T50270/
2020年5月12日

当然ですがボランティア、メディア関係者等を含めると莫大な検査数が必要となります。
日本にこなせるとは思えません。
今こそ、新型コロナPCR検査拡充を妨害してきた人達の意見を参考にする時です。
東京五輪開催に賛成であれば新型コロナPCR検査の有害性をIOCに説明し、無駄な検査の中止を求めるべきです。

IOCに対して次のように主張してはどうでしょうか?
「IOCの皆さんは検査が好きですね。1日7万件の検査は狂気の沙汰であり、特異度99%の場合、偽陽性者が700人程度出るため偽陽性者で医療機関が埋まり、医療崩壊が起こります。偽陽性で感染していないにもかかわらず、隔離され、競技続行不可能となりますので重大な人権侵害を引き起こします。偽陽性者が多数出て五輪遂行は不可能になります。無駄な検査はやめるべきです」

日本発祥の新型コロナPCR検査有害論が世界に通用するのでしょうか?

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