感染症

獣医師が解説 | 猫のトキソプラズマ症について

妊娠中の方から「飼い猫がトキソプラズマに感染しているかどうかの検査が必要ですか?」という問い合わせを受けることがあります。

また妊娠中に飼い猫とどのように接したら良いか不安になるかと思います。

猫のトキソプラズマ症に関しては医師が担当する領域獣医師が担当する領域がありますので、わかりやすく説明します。

猫のトキソプラズマ症

症状

免疫異常を持つ個体以外では症状を示すことはほとんどありません。

猫への感染

猫はトキソプラズマに感染したネズミを食べたり、他の猫の便の中に存在しているトキソプラズマのオーシストを摂食することやそれらに汚染された水を介してトキソプラズマに感染します。

猫への感染を予防するには?

  • 他の猫の便との接触を避けるために外に出さない
  • トキソプラズマに感染している動物の肉を食べると感染するので生肉を与えない
  • オーシストに汚染している野菜を食べると感染するので生野菜を与えない

猫からヒトへの感染とその特徴

猫が感染源となるメカニズム

  • 猫では感染の3~10日後から1~3週間持続してオーシストを糞便内に排出します。
  • 猫は初回の感染で多くは免疫を獲得します。免疫を獲得した猫はそれ以降トキソプラズマに感染してもオーシストを排出しません。

これらのことから

  • 猫が抗トキソプラズマ抗体陽性の場合(過去に感染していた場合)・・・オーシストを排出しませんのでヒトへの感染の危険性はありません。
  • 猫が抗トキソプラズマ抗体陰性の場合(トキソプラズマに感染していない場合)・・・猫がトキソプラズマに感染した場合、ヒトへの感染の危険性があります。

猫からヒトへの感染

  • ヒトは猫の糞便に含まれるオーシストを経口摂取することで感染します。
  • オーシストは感染型になるのに1~5日を要します。

これらのことから猫がオーシストを排出していたとしてもオーシストが感染型になる前(便をしてから24時間以内)に猫のトイレの掃除をすることでトキソプラズマ感染を予防できます。

まとめると

抗トキソプラズマ抗体陰性の猫(トキソプラズマに感染していない猫)が新たに感染し、感染後3~10日後から糞便中に排出され感染型になったオーシストを経口摂取することでヒトは感染します。

妊婦さんが猫との接触で注意しなければいけないケース

  • 妊婦さんの抗体価が陽性(妊娠前からの感染)・・・猫からの新たな感染を心配する必要はありません。
  • 妊婦さんの抗体価が陽性(妊娠中の感染)・・・妊婦さんはヒトの医療機関での経過観察または治療の対象となります。
  • 妊婦さんの抗体価が陰性・・・猫からの感染が妊婦さんに重大な結果を招く可能性があります。

猫の抗トキソプラズマ抗体検査

動物病院で検査(外注になります)が可能です。

抗体価陰性の妊婦さんが注意すること

  • 猫の抗体価が陽性の場合、猫からの感染の危険性は低いです。
  • 感染型になったオーシストを経口摂取することで感染しますので感染型になる前(便をしてから24時間以内)にトイレを掃除します。 トイレ掃除は妊婦さん以外の人が行うのが望ましいです。
  • 猫の抗体価が陰性の場合猫がトキソプラズマに感染しないように注意が必要です。猫への感染を予防するには?を参照して下さい。
  • 猫以外の経路での感染(生肉中のシスト、生野菜に付着したオーシストの摂取)にも注意が必要です。

参考文献
猫からヒトへのトキソプラズマ感染を 防ぐために飼い主に説明すべきこと 高島康弘
国立感染症研究所 妊婦さんおよび妊娠を希望されている方へ
国立感染症研究所 トキソプラズマ症とは

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