マイクロチップ義務化の法案が成立以降、飼い主さんからマイクロチップに関して問い合わせを受けることが増えました。
マイクロチップを入れることで何かわかるのか?
マイクロチップを入れることでの副作用等は無いのか?
疑問に思われることが多いと思います。
Contents
動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案
動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案の中にマイクロチップに関する規定があります。
施行時期
2019年6月19日公示。マイクロチップの規定に関しては公示から3年以内に施行されます。
内容
マイクロチップについて、犬猫等販売業者は、取得した犬又は猫に装着しなければならないものとし、犬猫等販売業者以外の犬又は猫の所有者は、装着するよう努めるものとする。
動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案 より
ペットショップで犬猫を販売する場合にはマイクロチップの挿入が義務づけられます。既に犬猫を飼っている場合やペットショップ以外からの譲渡の場合は努力義務となります。
マイクロチップの基礎知識
マイクロチップの形状
マイクロチップは長さ10.9mm、直径1.6mm程度の円筒形をしており、外部を生体適合性樹脂で密閉しています(1)。
マイクロチップの挿入部位、挿入方法
犬猫の首の後ろの皮膚が良く伸びる部分の皮下(皮膚と筋肉の間)に挿入します。
先端に針が付いた装置を用い、無菌的に挿入します。挿入時には局所麻酔、鎮静処置等は行わないのが一般的です。
マイクロチップ挿入による副作用
異物を体内に入れるので体質によってはアレルギー反応を起こす可能性があります。腫瘍が認められたという報告がありましたが、発生率は非常に低い(2)ので安全性は高いと思います。
MRI撮影への影響
一般の動物病院にある0.5T(テスラ)のMRIでは影響はほとんどありませんが、1.5T以上になると画像の歪みが認められるとのことです(2)。
マイクロチップに記録されている情報
15桁の数字が記録されています。専用のリーダーで読み取ります。
リーダーが置いてある場所は動物病院、保健所、警察署、動物愛護センター等です。
マイクロチップにGPS機能はありません
「迷子になった場合に現在位置がわかるのでしょうか?」という問い合わせがありますがマイクロチップにはGPS機能はありませんので、現在位置はわかりません。
犬猫が迷子になった場合にリーダーでマイクロチップの数字を読み取り、データベースと照合することで飼い主さんを特定します。
マイクロチップ情報のデータベース管理団体
マイクロチップの数字をリーダーで読み取り、データベースと照合します。
このデータベースは本来は統一されていた方が良いのですが現在は複数の組織がデータベースを作成、管理しています。
動物ID普及推進会議(AIPO)
AIPOの構成団体
- 全国動物愛護推進協議会・・・(公財)日本動物愛護協会、(公社)日本動物福祉協会、(公社)日本愛玩動物協会
- (公社)日本獣医師会
登録数
2,177,624件(2020年1月時点)
説明
動物病院でマイクロチップを挿入した場合は、この団体のデータベースへの登録が行われます。手続きは飼い主さんが行います。
FAM
FAMの構成団体
一般社団法人 Fam
登録数
296,972件(2020年1月時点)
説明
ペットショップCoo&RIKUで犬猫を購入された場合にこの団体のデータベースへの登録が行われるようです。
JCK(ジャパンケネルクラブ)
主に血統証明のために用いられるようです。
動物病院が使用するデータベース
動物病院に迷子犬、迷子猫が来院した場合に参照するデータベースはAIPOが管理しているものです。FAMのデータベースに登録していても一般の動物病院ではFAMのデータベースを参照できませんので注意して下さい。
ペットショップCoo&RIKUで犬猫を購入された場合、FAMのデータベースに登録されていると思います。しかし、AIPOのデータベースに登録していない場合は動物病院では飼い主さんを特定できません。 AIPOのデータベースに登録していない場合は登録することをお勧めします。
参考文献
(1)スリムチップ バイオポリマー「KS」使用説明書
(2)日本獣医師会 マイクロチップを用いた動物の個体識別