人が風邪をひいた場合、抗生物質を処方する病院は少なくなってきていると思います。
その理由として風邪の原因の大部分は上気道のウイルス感染だからです。ウイルスには抗生物質は効きません。抗生物質は細菌を殺す薬です。
同じように猫風邪には抗生物質は不要なのか?
猫風邪の原因、症状、治療法についてまとめます。
猫風邪とは?症状は?
猫風邪とは上部気道感染症のことで、くしゃみ、眼ヤニ、鼻水、咳等の症状を引き起こします。
猫風邪の原因
猫風邪の原因としてヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジア等が知られています。
- ヘルペスウイルス・・・鼻水、くしゃみ、結膜炎等を引き起こします。慢性化することがまります。
- カリシウイルス・・・鼻水、くしゃみを引き起こします。口腔内に潰瘍を形成することがあります。
- クラミジア・・・結膜炎、鼻水、くしゃみを引き起こします。眼の症状が強く出ます。
猫風邪の診断
鼻水、くしゃみ、結膜炎等の症状から猫風邪であると診断します。
ヘルペスウイルス、カリシウイルス、クラミジアについては遺伝子検査が可能ですが外部の検査会社に委託しての検査になりますので検査結果が出るまで時間がかかります。
また重複感染(ヘルペスとクラミジア両方に感染)を起こしている場合やクラミジア以外の細菌に感染している場合があるので検査を行う必要性は低いです。
猫風邪の治療法
ヘルペスウイルス、カリシウイルスが原因の場合は人の場合と同様、抗生物質は効きません。こういう場合、人では対照療法になりますが猫の場合はインターフェロン製剤がありますのでインターフェロンを投与することがあります。
クラミジアが原因の場合は抗生物質が有効です。
猫風邪の診断で述べたように症状からの診断となるのでクラミジアやクラミジア以外の細菌感染を疑い抗生物質を処方するのが一般的です。インターフェロンを併用することもあります。
インターキャット(ネコインターフェロン製剤)について
動物用医薬品として ネコカリシウイルス感染症の使用に認可が降りてます。ヘルペスウイルス感染症に対しても獣医師の裁量で用いる場合があります。
経過
一般的には良好ですがヘルペスウイルス感染では慢性化し、完全には治らない場合があります。
また幼弱な場合や免疫異常がある場合は重篤化することがありますので注意が必要です。