栄養学、フード

獣医師から見た間違ったドッグフード、キャットフードの選び方

近頃はホームセンターでもロイヤルカナンやヒルズの処方食を販売しているのを見かけます。

本来は獣医師の指示の元、使用すべきですが飼い主さんの判断で購入していることがあると思います。

その中には間違った使い方をしているケースが多々あります。例を挙げて説明します。

犬で肝臓の数値が高いから、肝臓サポート、l/d

一番よくあるケースです。定期健診で肝臓の数値が高いと言われて飼い主さんの判断で購入されていることがあります。

肝臓サポート、l/dの主な適応
  • 高アンモニア血症および肝性脳症
  • 門脈シャント
  • 慢性肝炎
  • 銅蓄積性肝疾患
肝臓サポートが推奨されないケース
  • 高脂血症
  • 空胞性肝障害

肝臓サポートやl/dの適用は非常に限られています。これらの疾患は投薬、手術等が必要になる疾患です。

健康診断で肝臓の数値が高いと指摘され、経過観察を指示されているような場合には適応にはなりません。

高脂血症が原因で肝数値が上がっている場合には、これらのフードを使用することで病状が悪化する場合がありますので、注意が必要です。

犬がお腹を壊しているから、消化器サポート

間違って使用しても病状が悪化することは少ないですが、症状が改善しない場合があります。

消化器サポート低脂肪の主な適応
  • 急性および慢性膵炎
  • 高脂血症
  • リンパ管拡張症
  • 肝細胞の空胞変性

軽度の腸炎で使用しても問題は無いと思いますが、本来の適応は高脂血症及び高脂血症が原因で引き起こされる疾患に対するものです。

当然のことですが、寄生虫疾患や食物アレルギー等が原因の腸炎には全く効果がありません。

猫がお腹を壊しているから、消化器サポート

間違って使用しても病状が悪化することは少ないですが、症状が改善しない場合があります。

消化器サポート可溶性繊維の主な適応
  • 便秘(急性、慢性)
  • 消化不良、吸収不良

消化不良、吸収不良も適応にはなっていますが、このフードは主に便秘症の猫に使用します。

当然のことですが、寄生虫疾患や食物アレルギー等が原因の腸炎には全く効果がありません。

犬猫で膀胱炎だからユリナリー、c/d

膀胱炎だからといって膀胱炎用の処方食を食べ続けなければいけないとは限りません。

膀胱炎の原因が細菌性膀胱炎の場合は、抗生剤で完治することが多いので処方食は必要ありません。


猫の特発性(原因不明)膀胱炎の場合は食事療法が必要ですが、ベッツプランのニュータードケアやpHケアで維持できるケースがあります。

ユリナリーシリーズは高齢の犬猫には注意して使用する必要がありますので、飼い主さんの判断でこれらのフードを購入するのは、おすすめできません。

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