犬猫に外来で注射をする機会があります。
予防接種や治療のための注射です。予防接種で痛がることは少ないですが、どんなに上手く打っても痛がる注射があります。
あらかじめ獣医師は「痛がりますよ」と説明すると思いますが、技術の問題ではなくて、激しく痛がる注射があります。
投与経路による注射の分類
皮内注射
表皮と真皮の間に薬液を投与します。獣医領域ではほとんど行いません。皮内に入ると、犬猫は痛がります。この場合は技術的な失敗です。
筋肉注射
筋肉中に薬液を投与します。獣医領域でも行われます。
皮下注射
皮下組織に薬液を投与します。獣医領域で最も一般的に行われます。犬猫では皮下に輸液剤を投与することがあります。
静脈注射
静脈内に薬液を投与します。入院時や手術時に輸液ポンプで輸液剤を投与することがあります。
犬猫が痛がる薬剤
次に挙げる薬剤は全て皮下投与での場合です。
ベトルファール
成分は酒石酸ブトルファノールです。鎮静、鎮咳、鎮痛作用があります。能書では筋肉注射となっていますが、皮下でも投与可能です。筋肉に打とうが、皮下に打とうが犬猫は痛がります。
コンべニア
成分はセフォベシンナトリウムです。2週間の抗菌作用があります。
セレニア
成分はマロピタントクエン酸塩一水和物です。制吐作用があります。よく効く良い薬です。ベトルファールやコンべニアは時々痛がらない動物はいますが、セレニアはほぼ全ての動物が痛がります。ぐったりしていた動物が痛さで飛び上がったこともあります。
メーカーは、冷蔵庫に保存し、冷やすことや点滴で希釈することで疼痛が緩和されると言ってます。希釈することで多少は疼痛は緩和されますが、それでも痛がります。
皮内に薬剤が入ると、どんな注射であっても犬猫は痛がります。この場合は獣医師のミスです。しかし、ベトルファールやコンべニア、セレニアはどんなに上手く打っても痛がることがあります。