サプリメントの広告については規制が厳しくなり、誤解を与えるような表現に関しては行政からの指導が行われます。
しかし、ドッグフードに関しては規制はほとんどなく、間違った情報が氾濫しています。
きちんとした研究開発を行っている会社はあります。
しかし、ドッグフードを売りたいがために間違った情報を拡散しているような会社もあります。
グレインフリーの定義
グレインフリーとは原材料として穀物を使用していないという意味です。ドッグフード会社やドッグフードのネット広告ではグレインフリーを売りにしている場合があります。グレインフリーを謳っていながら原材料に豆類を使用しているドッグフード会社がほとんどです。従ってドッグフード会社の言う穀物とは米、麦、トウモロコシに限定され、これらを使用していないという意味であると考えられます。
犬は穀物を消化しづらい?
グレインフリーを売りにしているドッグフードに関して次のような記載があります。
犬のような肉食動物は、これらの穀物類を消化しづらいとされています。犬の唾液には「アミラーゼ」と呼ばれる、でんぷん質の炭水化物を分解する酵素が含まれないためです。
ドッグフード会社ホームページより
犬の唾液にはアミラーゼは含まれないのは事実です。しかし、犬は膵臓からアミラーゼを分泌します。従って犬がデンプン(炭水化物)を分解できないということは無く、穀物を消化しづらいということもありません。
この会社のドッグフードでは厳選された健康的な原材料としてサツマイモ、エンドウ豆を使用しているとのことです。
芋類、豆類は穀物と並びデンプンを多量に含みます。
犬はデンプンを分解できないと考えているにもかかわらず、サツマイモ、エンドウ豆を使用し、消化に良いと謳っています。
サツマイモは加熱により、β-アミラーゼが活性化され、デンプンは分解されるという理屈なのでしょうか?記載が無いので不明です。
犬は肉食動物?
犬は肉食動物ではなく、雑食動物に分類されます。猫は肉食動物です。
上記のように犬は肉食動物と間違って説明しているドッグフード会社が多数あります。
穀物は食物アレルギーを起こしやすい?
犬において食物アレルギーを起こしやすい食べ物はアメリカの研究では牛肉(69%)、大豆(32%)、鶏肉(28%)、牛乳(28%)、トウモロコシ(25%)、小麦(24%)、卵(20%)となっています(1)。
日本の研究では牛肉、鶏肉、小麦、米、牛乳などが多い傾向にあったとのことです(1)。
食物アレルギーに配慮するという理由でグレインフリーの方が良いということはありません。グレインフリーを謳いつつ、牛肉や鶏肉の割合が多いフードを与えると牛肉、鶏肉アレルギーの素因を持っている犬では食物アレルギーを発症するリスクが増加します。
食物アレルギーが疑われる場合は、アレルギー検査を行った上で食事を選択することをお勧めします。
- 目、口、背中の痒み
- 1歳未満からの痒み
- 1年中の症状
- 1日3回以上の糞便回数
動物アレルギー検査株式会社 資料より
グレインフリーが悪いというわけではありません。しかし、グレインフリーを売りにするために「犬は肉食動物である」、「犬は穀物を消化しづらい」等の間違った情報を拡散させているような会社は信用できません。
参考文献
(1)臨床栄養学 interzoo