コロナウイルス感染症

日本の医師達がPCR検査を忌避する理由

未だにコロナウイルスPCR検査の拡充に反対する人達がいます。
この人達が何故そこまでPCR検査を忌避するのか考えてみました。

以下は仮説です。
正しいかどうかはわかりません。
各人が判断して下さい。

蔓延予防のための受診は必要か?

近頃、NATROM氏という医師の方とtwitter上で意見交換しています。
以下NATROM氏のブログ(http://natrom.hatenablog.com/entry/20180216/p1 )からの引用です。
少し長いですがよく読んでください。

NATROM氏のブログからの引用

インフルエンザ蔓延予防のための受診は必要か?

結論を言えば、インフルエンザの蔓延防止が目的であっても診断や検査目的の受診の必要性は乏しい。とくに流行期においてはそうだ。なぜなら診察や検査でインフルエンザを否定するのは困難だからである。

インフルエンザ迅速検査はご存知の方も多いだろう。「スワブ」という綿棒を細長くしたようなものを鼻の奥に入れて検体を採取するあれだ。鼻汁や鼻腔ぬぐい液中のインフルエンザウイルス抗原を検出することで、15分以内に検査結果が出る。インフルエンザ迅速検査で陽性であった場合は、ほぼインフルエンザだと確定する。しかし、インフルエンザ迅速検査で陰性であってもインフルエンザではないとは断定できない。

インフルエンザの患者にインフルエンザ迅速検査を行って、正確に陽性と結果がでる確率(感度)はおおむね60%〜90%だ。幅があるのは発症してからの時間やウイルスの型、手技、迅速診断用キットの種類などの影響を受けるからである。

流行期には発熱患者の6割とか8割とかがインフルエンザである。仮に70%の確率でインフルエンザである患者さんに対し感度が80%の検査を行い、結果が陰性だったとしよう。この患者さんに対して「あなたはインフルエンザではないので熱が下がったらすぐに出勤していいです」と言っていいだろうか?

こうした患者さんが100人いたらそのうち70人がインフルエンザだ。この70人のうち検査陽性は70×0.8 = 56人、検査陰性は70−56 = 14人。インフルエンザではない30人は全員検査は陰性である。陰性の結果が出た14+30 = 44人のうち、インフルエンザではないと正確に診断できるのは30÷44 = 約68%である。検査だけでインフルエンザではないと診断してしまったら、残りの3割強の患者さんがウイルスを巻き散らすことになりかねない。

なので、インフルエンザの蔓延防止が目的なら、流行期の発熱患者は検査の結果に関わらず、インフルエンザであるとみなして対応するのが望ましい。すなわち、発症してから5日間かつ解熱して2日間は出勤せずに自宅で安静にする。

一部を引用してます

上の文章を下のように読み変えてみて下さい。

  1. インフルエンザ→コロナウイルス
  2. 迅速検査→PCR検査

NATROM氏は検査の拡充に反対しているわけではありません。 たまたま都合が良い文章だったので引用させて頂きました。

読んでもらうとわかると思うのですが、コロナウイルスPCR検査の拡充に反対している人達の主張とほぼ一致します。

  1. 確定診断が困難
  2. 偽陰性の人がウイルスをまき散らす
  3. 軽症者は病院で診察を受けずに家で寝てろ

最近はコロナウイルスでの重症化例が増え、「コロナはインフルエンザのようなもの」と言う人は減りましたが、PCR検査の拡充に反対の人達は「コロナはインフルエンザと同様の対策をしろ」と言っているのです。
これは岩田健太郎氏の主張を見ると明らかです。

岩田健太郎氏の主張

PCRは診断の拠りどころにはなりません。陽性の場合は喉に新型コロナウイルスがいることの証明になりますが、陰性だからといって罹っていない証明にはならない。

診断の助けにはなるので、これまでに行った場所についての情報は得るし、PCRもするし、場合によってはCTも撮るんだけど、100パーセント確実にコロナウイルスへの感染を言い当てることができる方法は、ないんです。

https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/373401/

ゼロリスクならぬ100パーセントの診断という話が突然出て来てびっくりします。

しかし、こと今回の新型コロナウイルスへの対応としては、このスキームは間違いです。我々の持っている従来の価値観や世界観を捨てないと、このコロナウイルスには正しく立ち向かえない。

正しく診断する、というのは、「この人はコロナ、この人はコロナじゃない」というのを全部言い当てることです。しかし、診断の拠りどころがない以上、その戦略は取れません。

新型コロナウイルスに対しては、これまで我々が心筋梗塞を診断したり、がんを診断してきたような戦略性は取れないんです。

https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/373401/

何故かコロナウイルスに対して100%の診断を要求しています。
ちなみに、がん診断の感度、特異度は以下の通りです。
コロナウイルスPCR検査の特異度はほぼ100%です。感度は諸説あります。
岩田氏が、がんや心筋梗塞が診断可能でコロナウイルス感染症は診断不可能であると考える理由は不明です。

感度(%)特異度(%)
胃がん60.088.5
大腸がん57.196.7
肺がん83.398.0
乳がん85.793.5
子宮頸がん71.485.2

現段階では、コロナであるという「診断」はできていないけれど、コロナであるという「判断」をしておけば、対応に間違いはない。仮に違う病気だったとしても対応できる判断をすればいい。

これが、正しく診断することを放棄して、正しく判断するということです。

https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/373401/2/

岩田氏はコロナウイルスの診断はできないと考え、「判断」の方が重要と考えているようです。

じつはこれまでにも、正しく診断することが現実的ではなく、本来は正しく判断する戦略を取らないといけなかった感染症があります。

それは、インフルエンザです。

じつは病院で使うインフルエンザの迅速キットって、結構間違えるんです。新型コロナウイルスのPCRと同じく6割程度の感度しかありません。だからインフルエンザの迅速キットで陰性でも、やっぱりインフルエンザに罹っている人はいくらでもいる。

https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/373401/2/

驚くべきことに岩田氏はコロナウイルスPCR検査の感度が6割程度と考えているようです。インフルエンザの迅速キットと同程度らしいです。

だからインフルエンザも正しく診断することは諦めて、いま説明した「正しく判断」する戦略を取るべきだったんです。

https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/373401/2/

インフルエンザもコロナ同様、診断は必要無く、「判断」が重要と考えているようです。

このやり方では、家で寝ていれば勝手に治るコロナウイルスを見逃しているかもしれないけど、別に見逃してもいいんです。家で安静にしているのなら。

病院に来なくていい人は病院に来ないほうが、二次感染は拡がりません。症状が軽い人に対して病院ができる治療はそもそもないんだから、勝手に治る人は勝手に治しちゃえばいい。

それでも治らない人は病院に来れば、そこでは酸素も投与できるし、血圧を上げることもできるし、人工呼吸器につなぐこともできる。その必要性を判断する根拠は、症状です。

https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/373650/2/

この主張の前提としては次のことが必要です。

  1. 重症化した場合、即座に救急車が到着し、即座に受け入れ先の病院に搬送され、治療が受けられる。
  2. 重症化の兆候は感染者本人や周囲の人が正確に診断する。

こういうことは現実的には有り得ないことがわかると思います。
感染者本人や家族が聴診し、家で酸素飽和度を測定するのでしょうか?

病院の中だけで見ると、患者を受け入れた後の治療方法はコロナとインフルエンザはあまり変わらないかもしれません。

しかし、病院の外はどうなっているでしょうか?

インフルエンザは季節が変わると収束するかもしれません。
コロナは季節が変わると収束しますか?
インフルエンザは家で寝てれば、ほとんどの人は治るでしょう。
コロナは家で寝ていて本当に大丈夫ですか?

コロナはインフルエンザと同じ対策をしていて本当に良いのでしょうか?
何故、岩田氏はコロナとインフルエンザを同一視するのでしょうか?

岩田健太郎氏がコロナとインフルエンザを同一視する理由

岩田氏がこのように主張する理由には感染症専門医が置かれている次のような事情を考慮する必要があります。

感染症は医者に「なめられている」
これは泌尿器科だけの問題ではありません。
「感染症が専門です」と日本で言っている、その「専門家」の大多数は、じつは「ついでに」感染症をやっている医者たちです。
本業は呼吸器内科だったり、血液内科だったり、小児科だったり、検査医学だったりするのです。
日本では、まだまだ、感染症学は独立した専門分野としては認知されておらず、「ついでに」できる商売だと思われているのです。後述するように、日本では、専門医資格を取るのが簡単なので、3つや4つの専門分野の専門家であるのは珍しくないのです。
で、多くの医者は、「ついでに」感染症専門医資格を取っています。後述するICDになると、研修も試験もありませんから、本当に「ついでに」資格が取れてしまいます。

99.9%が誤用の抗生物質 岩田健太郎

感染症専門医は病院の中で、どのように診察に係っているのでしょうか?
おそらくは病院の中では「コンサルティング」の役割を担っていると思います。
つまり、何か問題が起こったときに出てくるのだと思います。

感染症専門医の立場になって考えると、誰でも感染症を簡単に診断し、治療できるようになると自らの存在意義が無くなってしまいます。
自らの価値を高めようとする場合、どうすれば一番良いでしょうか?

インフルエンザが迅速キットを用い、簡単に誰でも診断でき、タミフルの投与で治療ができてしまうと感染症専門医は困るのです。
存在意義が無くなりますので。

検査をするかしないかは本質的ではない

日本医師会は2020年3月、「迅速キットでインフルエンザをみだりに検査しないようにしましょう」「臨床的な症状、高熱とか喉の痛みとかでインフルエンザかどうかを判断しましょう」と言い出しました。

やっとか、と思いましたね。ぼくは昔から、もう何十年も前からそうするように言っていたんですよ。 検査は間違えるので、とにかく患者さんを診る。検査で判断するんじゃなくて、現象としてのインフルエンザという病気を診る。そして、「この患者さんはインフルエンザという現象を起こしている」と判断したら、それはインフルエンザなのだ、と判断する。

検査をするかしないかは本質的ではないんです。

https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/373650/

インフルエンザが診断不可能な疾患になれば、コンサルタントとしての感染症専門医の存在価値は上がります。
岩田氏の嬉しそうな顔が目に浮かびます。

同じようにコロナウイルス感染症が誰でも診断可能な疾患であると感染症専門医は困るのです。
コロナウイルス感染症が診断不可能な疾患であるとコンサルタントとしての感染症専門医の存在価値は上がります。
コロナウイルス感染症を診断不可能な疾患にするためには、PCR検査はインフルエンザ迅速検査と同程度の感度でないといけないのです。
つまり、PCR検査は役に立たない検査でないといけないのです。

感染症専門医以外の医師

感染症専門医がPCR検査を忌避する理由がわかったと思います。
しかし、感染症専門医以外の医師はどのように考えているのでしょうか?

患者のためを本当に思っている医師達はPCRセンターの設立、院内でのPCR検査の実施、コロナ専用病棟の立ち上げ等の活動をしています。

それ以外の医師がPCR検査を忌避するのは都合が良いからと考えられます。
コロナウイルス感染症の治療は割に合わないのでしょう。
できればコロナ患者の診察は行いたくない。
重症例は仕方無いので診察しよう。
岩田氏等の感染症専門医の主張は都合が良いので乗っかっておこう。
その程度の考えでしょう。

インフルエンザもコロナも確定診断は可能

日本の医師達はほとんど使用しないのかもしれませんが呼吸器パネルという呼吸器疾患を一度に診断できるPCR検査があります。
現在使用できる施設は限られますが、インフルエンザも当然含まれます。

20種類の呼吸器感染症病原体を高精度・短時間に同定する新検査を11月から保険適用—厚労省

呼吸器感染症病原体20種類の同定を短時間(1時間)に、極めて高精度に行える新たな検査法の有用性が10月18日の中央社会保険医療協議会・総会で確認され、保険適用が認められたものです

https://gemmed.ghc-j.com/?p=30254

感染症専門医であれば使用を推奨すべきであると考えますが「診断よりも判断だ」と言って使用していないのでしょう。
呼吸器パネルを使用して誰にでも簡単に感染症が診断されると感染症専門医は困るのでしょう。

まとめると

岩田氏等の感染症専門医は、コロナもインフルエンザ同様、診断不可能な疾患であると主張します。
コロナウイルス感染症が診断不可能な疾患であれば、コンサルタントとしての感染症専門医の存在価値は上がります。
コロナウイルス感染症を診断不可能な疾患にするために、コロナウイルス感染症に対しては100%の診断を要求し、PCR検査は役に立たない検査であると主張します。
こういう有害な活動は感染症専門医の置かれてきた立場に対するルサンチマンの現れかもしれません。
コロナ患者の診察が割に合わないと考える医師達は、岩田氏等の主張が都合が良いので乗っかっています。
彼らに対してPCR検査の有用性を説明した所で一切耳を貸さないのは、このような事情があるからです。
日本人にとっては非常に迷惑な話です。

以上は私の仮説です。
正しいと考えるかどうかは各人の判断に任せます。

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