コロナウイルス感染症

「家庭内感染を防止せよ」は令和の竹槍作戦

娘の保育園で新型コロナの感染者が出て娘がPCR検査対象者となりました。
(幸いにも検査結果は陰性でした)
ちょうどその頃NHKのニュースで「家庭内感染が増えているので家庭内感染を防止せよ」という内容の報道がありました。
家庭内感染防止について考えます。

家庭内感染が増加傾向に 都内で今月40%超 家庭内でも対策を

東京都では、新型コロナウイルスの感染経路が明らかになっている人のうち、家庭内で感染した人の割合が、今月に入って40%を超え、増加傾向となっていて、都は「自分が感染しているかもしれないと思って、手洗いや換気を徹底するなど、家庭内でも、できるかぎりの対策を行ってほしい」と呼びかけています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201110/k10012704671000.html

家庭内感染の経路は「親から子供に感染」→「学校で子供(無症状)から子供に感染」→「子供(無症状)から親に感染」等が考えられます。

新型コロナの家庭内感染を防止することは可能なのでしょうか?

厚生労働省資料より

「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合 家庭内でご注意いただきたいこと」
としてポイントが挙げられています。
これらの対策は新型コロナの感染経路が飛沫感染、接触感染であるという前提ですので不充分です。
エアロゾル感染対策を考えるとさらに厳しい対策が必要となります。

発症前から感染性がありますので家庭内感染を防止するには家族内で誰かが感染しているという前提で行動する必要があります。

我が家は家族4人(小学生1人、保育園児1人) です。
実効可能なのかどうかを順番に見ていきます。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000601721.pdf

家族全員個室で生活するのは不可能です。
部屋を分けられない場合には距離を保ってもエアロゾル感染は防げません。
エアロゾル感染を防ぐには同じ部屋にいる時はマスク着用、換気が必要になります。
(当然同じ部屋で寝る場合はマスク着用、換気が必要になります。寝るときに子供にマスクを着用させるのは不可能です)

新型コロナは空気感染するというのはタブーなのか? 分科会会長の尾身氏は「マイクロ飛沫感染は空気感染ではない」という主張を行っています。マイクロ飛沫感染という聞きなれない用語を用いて空気...

食事は時間をずらすか、各自個室で取る必要があります。
それができない場合は尾身氏や黒岩氏が推奨するマスク会食の作法に従う必要があります。

“食べるときだけマスク外す”分科会提言の会食様式に疑問相次ぐ

感染防止策として、今までより踏み込んだクラスター対策など“5つのアクション”を発表。その一つである「対話のある情報発信」の例として、尾身会長は会食中の感染対策について身振り手振りを交えながらこのように説明した。

「食べるときは左手で(マスクを)外して、食べる。その時は喋っていません。食べるときはしゃべらない。飲み込んだら、(マスクを再びつける仕草)」

「これだけにこだわる必要はない」としたうえで、神奈川県の黒岩祐治知事(66)も推奨している方法だと紹介した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/f90eacec0cf42edf8c20d69030c5dfac1a1d546f

エアロゾル感染をこの作法で防げるのかはわかりませんが、こんなことを子供ができるはずがありません。

トイレ、バスルームの共有を避ける事は不可能です。

エアロゾル感染を防ぐには家庭内でも常時マスク着用が必要になります。

https://www.tut.ac.jp/docs/201015kisyakaiken.pdf

布マスクではなく、不織布マスクを家族全員がつける必要があります。
(エアロゾル感染を完全に防ぐためには家族全員N95マスクが必要になります)

手洗いは多くの家庭で行われているでしょう。

我が家では実行可能だと思いますが、寒い時期にお年寄りや体が弱っている方がいる場合、可能なのでしょうか?
(換気に触れてますので厚労省はエアロゾル感染を認識しているのでしょう)

トイレや洗面所の消毒はともかく、共有部分の消毒を継続することは大変です。

小さい子供がいる場合は大変です。

家庭内感染を防止するということは感染収束まで、これらの対策を継続するということです。
果たして可能でしょうか?

こんな実行不可能なことよりも家庭内に感染を持ち込まないことの方が重要です。
そのためには市中感染を減らすことが第一で、市中感染を減らすには検査と隔離の他無いと思うのですが政府はそのようには考えていないようです。

宮沢孝幸氏

近頃物議を醸している宮沢氏が動画を公開しています。

コロナウイルス感染症に関する日本の言論状況 私は一貫してPCR検査の拡充の必要性を主張しています。PCR検査推奨派、非推奨派と分かれますがその中でも考え方の違いがあります。 ...

主に家庭内感染に関する部分を抜粋します。

  1. 31:30頃~「発症者が2~3日前から感染させる」
  2. 35:28頃~「家庭内感染を防げないわけではない。油断してしまうんですね」
  3. 37:58頃~「家庭内感染は防げます。咳が出ている、発熱している人を隔離し、同じ時間にご飯を食べることをやめる」
  4. 38:21頃~「飲み会に行った人とは同じ時間帯に食事しない。鼻紙を触らない程度」

①無症状者から感染することを認めています。
②無症状者からも感染することを認めておきながら、油断で片づけています。
③有症状者(発熱、発咳)に対する感染対策はこの程度で充分らしいです。
④無症状者に対する感染対策はこの程度で充分らしいです。(無症状の子供からの感染はどうやって防ぐのでしょうか?)

接触感染対策、飛沫感染対策には触れていますがエアロゾル感染対策についてはほとんど触れていません。
エアロゾル感染対策を行わずに家庭内感染を防ぐことができるとは思えません。

閉鎖空間での新型コロナの感染制御が難しいのは全国各地の病院でクラスターが発生していることからも明白です。
クラスターが発生した病院は油断していたのでしょうか?
(この御時世で飛沫感染対策、接触感染対策が不徹底な病院は無いでしょう)

竹槍作戦と防空法

竹槍戦術の練習は、現代の日本人には信じがたい戦争中の出来事の一つでしょう。敗戦直前には、上陸する米兵(人形)を婦人が竹槍で刺し殺す訓練までありました。

さらに一部には、竹槍でB29爆撃機を撃墜するポーズの練習まであったのです。B29は米軍の開発した長距離戦略爆撃機であり、竹槍で落とすなど不可能です。ライフルを持つ米兵を、婦人や子どもが竹槍で殺傷することも、できるはずもありません。

https://diamond.jp/articles/-/189929?page=3

「逃げずに消火せよ」が法的義務に

日本の占領地域は拡大して祝勝ムードに湧く毎日。自分たちが空爆(空襲)の標的となる恐怖は感じない。その隙を突くように、1941年11月に防空法が改正され、空襲時の避難禁止と消火義務が規定された。

つまり「逃げるな、火を消せ」という命令だ。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52580?page=2

政府がおこなった2つの隠蔽

いかに「逃げるな、火を消せ」と命令されても、空襲の恐怖が広まれば逃避者が続出する。そこで政府は2つの情報隠蔽をおこなった。

その第一は、空襲の危険性や焼夷弾の威力の隠蔽である。政府はアメリカ製焼夷弾を不時着機から押収して爆発実験を行い、威力を確認した(1943年2月14日)。

政府広報に載った写真からは猛烈な破壊力が一目瞭然である。だが公式発表は「2分で消火できた」という。

あっという間に家屋が全焼した事実を隠して、「旺盛な防空精神をもって、身を挺して国土を守り抜くといふ伝統の魂」によって消火できたと発表した(「週報」1943年3月24日号)。消火の技術論は皆無で、ただの精神論でしかない。

第二は、実際に起きた空襲被害の隠蔽である。国防保安法や軍機保護法により、空襲の被害状況を話すことは処罰対象となった。報道も規制された。敵国のスパイに知られるのを防止するためというのである。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52580?page=3

新型コロナのエアロゾル感染を認めないのは空襲の危険性や焼夷弾の威力の隠蔽と同じことで「コロナは大したことない」という印象を広めてしまいます。

「家庭内感染を防止せよ」というのは竹槍戦法のような国民に対する無理な要求です。
家庭内感染は防止できるという印象を広めることは「感染拡大は国民の責任」というように国民に対する責任転嫁につながります。

第二次世界大戦中は政府にとって都合の良い説を流布する御用専門家が多数いました。
令和の時代になっても日本という国の体質は変わらないのでしょうか?

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