コロナウイルス感染症

コロナウイルス感染症の検査を行いすぎると医療崩壊が起こるという意見について

日本ではコロナウイルスの検査を希望しても検査をしてもらえず、いくつもの病院を受診後ようやく検査をしてもらい、陽性が発覚したというケースが多数あります。

そこでよく言われるのが検査をしすぎると医療崩壊が起こるという意見です。本当なのでしょうか?

コロナウイルス感染の検査を行うメリット

コロナウイルス感染の実態把握ができ、次のような効果が期待されます

  • 無症候者や軽症者からの2次感染予防
  • 感染源を突き止め、感染拡大防止
  • 感染者を観察することで重篤化に早期に対応

コロナウイルス感染の検査を行うデメリット

識者や政治家の意見を見てみます

①検査希望の外来受診者が増えて、医療機関内で感染が拡がる。

【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:軽症者に外来でPCR検査を行ってはいけない理由」川口篤也

検査希望の外来受診者は発熱者外来を設けて対応すれば良いだけです。ドライブスルー方式等、医療機関内での感染を防ぐ方法は他にもありますので、検査を行わない理由にはなりません。

②発熱者外来を設置したとしても、検査希望者が殺到すれば、発熱者外来受診者間で濃厚接触が起こる(発熱者を十分な間隔で隔離できる施設を持つところはほとんどない)

【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:軽症者に外来でPCR検査を行ってはいけない理由」川口篤也

検査希望者に対して時間を指定して病院に来院してもらう、ドライブスルー方式を採用する等、濃厚接触を避ける方法はいくらでもありますので、検査を行わない理由にはなりません。

③検査をする人はN95マスクも含めた個人防護具(PPE)の装着が必要(現在PPEの在庫は十分ではなく、すぐに足りなくなったり、そもそも用意できないクリニックも多数ある)。

【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:軽症者に外来でPCR検査を行ってはいけない理由」川口篤也

防護具が無いので検査ができないのであれば、今後重症患者が増えた場合は対応できないということになります。防護具が無いのであれば、今後の対策のために増やすしかないでしょう。こんな理由で今後も検査ができないのであれば、日本の医療は既に崩壊しているも同然です。

④一回検査をする毎に適切な手順でPPEを脱ぐ必要があるが、少しでも不適切な手順があると感染のリスクが上がる。

【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:軽症者に外来でPCR検査を行ってはいけない理由」川口篤也

医療従事者の技術的な問題です。検査を行わない理由にはなりません。

⑤上記に人員を割くことができ、PPEも十分に用意できるところは限られ、結果としてさらに感染症指定医療機関やそれに準じた病院への業務負荷が起こる(そのような病院では入院でも重症患者の治療にあたっており、かなりの業務負荷がすでに起こっているし、現在学校の休校で出勤できる職員数も減っており、余分な人員がある医療機関はほとんどない)。

【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:軽症者に外来でPCR検査を行ってはいけない理由」川口篤也

現状、医療機関に余裕が全く無いのであれば今後重症患者が増えた場合は対応できないということになります。時間稼ぎをしている間に医療体制の整備を行っているのであれば良いのですが。

⑥新型コロナウイルスのPCR検査の感度はそれほど高くない(おそらく70%を下回る…確定の数字ではない)ため、結果が陰性だった患者が新型コロナウイルス感染症ではないと思い、自宅療養を続けずに職場などで感染を増やすリスクが増す。

【識者の眼】「新型コロナウイルス感染症:軽症者に外来でPCR検査を行ってはいけない理由」川口篤也

検査結果が陰性だった場合も検査の精度の説明をし、きちんと指導を行えば済む話です。検査を行わずに感染を拡大させるリスクの方が明らかに大きいと思います。

検査して陽性反応が出てしまうと、たとえその人が無症状者や軽症者であっても、専門医療機関に入院させ、自治体の感染症対応機関によって濃厚接触者の調査が行われる。現在の仕組みでは大変な作業が発生することに変わりがない。ゆえに検査が増えれば増えるほど、医療機関や感染症対応機関における負担が著しく増え、現場は疲弊する。そのことによって、本来救わなければならない重症者に対して、医療がサポートできなくなる危険性が高まってくる。

橋下徹「なぜ今、日本では新型コロナの検査を拡大してはいけないか」

現在の法律では陽性反応が出ると入院が必要になりますが、法律を改正し、無症状者や軽症者は自宅隔離等の処置を取るようにすれば良いだけです。
感染者が見つかれば現場は疲弊して困るかのような意見になっており本末転倒です。
感染者が発見されることで起こる現場の疲弊への配慮の方が感染実態を把握することよりも重要なのでしょうか?
感染実態がわからなければ対策の取りようが無いと思います。

「とにかくPCR検査をどんどんやって、陽性か陰性かを確定すべきだ。そして陽性でも無症状だったり、軽症だったりした人は自宅で療養してもらえばいい。国民は、自分が陽性か陰性かわからないから不安になる。陽性だとわかれば、他人に感染しないように注意をすることができるのだから、検査をやった方がいい」というものだ。

しかし、このような意見には重大な認識の欠如がある。それは「人間は陽性反応が出ると、たとえ軽症であっても医療機関に対応を求めてくるものだ」という医療現場の切実な認識についてだ。

これは今回の新型コロナウイルス問題でわかったことではなく、過去ありとあらゆる領域で似たような問題は生じている。人間は、多少でもマイナスの評価を下された場合、じっとしていられないものだ。これは技術や文明が発達した社会に住む人間であればなおさらのことだ。

橋下徹「なぜ今、日本では新型コロナの検査を拡大してはいけないか」

軽症者であっても医療機関に対応を求めるような人は、検査をしてもらえない場合は検査をしてもらえるまでいくつも医療機関を受診します。8回目の受診で検査をしてもらい、陽性が判明したケースもあります。陽性の場合は報道されますが、陰性の場合は報道されませんので、こういう方は一定数いるのでしょう。
ただし、こういう人ばかりではありません。
軽症者にはきちんと説明をし、自宅隔離で納得をしてもらうのは医療従事者の責任です。

まとめると

今の日本の政策は医療崩壊をさせないためのものだと思います。検査が可能な体制が整っているが敢えて検査をしないというのであれば静かに経過を見守るしかないでしょう。

感染経路不明の感染者が増えてくると感染が拡大し、感染者が増えます。その結果病院のキャパシティーを超えるくらい患者が増えることで医療崩壊が起こります。
医療崩壊を起こさないためには感染経路不明の感染者を減らすことが重要です。そのためには検査が必要になりますが、上記の識者や政治家のように検査を増やすことに反対する方が多数います。

今の日本の政策は行き当たりばったりで嵐が過ぎ去るのを何もせずに待っているようなものに思えます。運を天に任せたような政策で大丈夫だとは思えません。

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