前回コロナウイルスPCR検査の偽陽性について記事にしました。
今回はコロナウイルスPCR検査の偽陰性について考えます。
Contents
PCR検査とは?
PCR検査は検体中に目的とする遺伝子配列を持つDNA(RNA)が存在するかを調べる検査です。
感染性を持つかどうかを調べる検査ではありません。
PCR法って?
日本微生物研究所
PCR法は、増やしたい遺伝子のDNA配列にくっつくことができる短いDNA(プライマー)を用意し、酵素の働きと温度を上げ下げすることで、目的の遺伝子を増やす方法です。増えたDNAを染め出す特殊な装置に入れる事で、増えた遺伝子を目で確認する事ができます。検体の中に増やしたい遺伝子があれば増えて目で確認することができ“陽性”と判定されます。しかし、検体の中に遺伝子がなければ増えないので、目で確認することはできず、 “陰性”と判定されます。
PCR検査についての陽性、陰性、偽陽性、偽陰性は次のようになります。
- 陽性:検体中に目的とする遺伝子配列を持つDNA(RNA)が存在する
- 陰性:検体中に目的とする遺伝子配列を持つDNA(RNA)が存在しない
- 偽陽性:検体中に目的とする遺伝子配列を持つDNA(RNA)が存在しないにもかかわらず、陽性と判定する
- 偽陰性:検体中に目的とする遺伝子配列を持つDNA(RNA)が存在するにもかかわらず、陰性と判定する
コロナウイルスPCR検査について
コロナウイルスPCR検査の精度は非常に高く、厚生労働省が調査したPCR検査キットの陽性一致率、陰性一致率はほぼ100%でした。
検体中にコロナウイルスが含まれていれば、ほぼ100%正確に検出できるということです。
https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/2019-nCoV-17-20200430.pdf
ところがコロナウイルスPCR検査の感度は低く、70%程度と主張する人達がいます。
この人達が言うコロナウイルスPCR検査の感度、特異度の定義は次のようになっています。
今日から新型コロナPCR検査が保険適用に PCRの限界を知っておこう
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200306-00166273/ 忽那賢志 感染症専門医
検査には感度と特異度という指標があります。
感度とは「その疾患を持つ人が検査を行った場合に陽性となる頻度」であり、特異度とは「その疾患を持たない人が検査を行った場合に陰性となる頻度」です。
新型コロナ検査、どれくらい正確? 感度と特異度の意味
https://www.asahi.com/articles/ASN3M7G1XN3MULBJ01C.html 酒井健司 内科医
感度とは、新型コロナウイルスに感染している人に検査をして、正確に陽性という結果が得られる割合です。
この人達の言う感度はコロナウイルスに感染している人を正確に検出する確率を言っているようです。
「検体採取」、「検体輸送」、「PCR検査」の全ての工程を含めて感度ということになりそうです。
まとめると次のようになりそうです。
- 陽性:コロナウイルスに感染していてPCR検査で陽性
- 陰性:コロナウイルスに感染していないくてPCR検査で陰性
- 偽陽性:コロナウイルスに感染していないがPCR検査で陽性
- 偽陰性:コロナウイルスに感染しているがPCR検査で陰性
検体採取ミスも偽陰性としてしまうので定義そのものに問題があります。
臨床検査とはそういうものだという理屈なのでしょうか?
コロナウイルスPCR検査の偽陰性?
検体中にウイルスが含まれていない場合
コロナウイルスに感染しているにもかかわらず検体中にコロナウイルスが存在しない場合、次の2つのケースが考えられます。
鼻咽頭、下気道にウイルスが存在せず、検体中にウイルスが存在しない場合
ウイルスに感染しているが鼻咽頭、下気道にウイルスが存在せず、検体として採取されない場合です。
これは検体採取のタイミングの問題です。
PCR検査で陰性の場合でも感染が疑われる場合は繰り返し検査を行うべき事例です。
この場合、鼻咽頭、下気道にウイルスが存在しないので他に人に感染させる可能性は低いと考えられます。
鼻咽頭、下気道にウイルスは存在するが採取手技の問題で検体中にウイルスが存在しない場合
この場合はPCR検査そのものの問題ではなく、検体採取者の手技の問題です。
元々は2検体を用いて検査を行っていましたが唾液の検体が使用可能となりました。
3検体で検査するようにすれば検体採取ミスは減ることが期待できます。
この場合、鼻咽頭、下気道にウイルスは存在しますので他の人に感染させる可能性があります。
PCR検査で「偽陰性」なぜ起きる? 感染を見逃す理由
https://www.asahi.com/articles/ASN515S72N51UBQU001.html 酒井健司 内科医
なぜ偽陰性が起きるのでしょうか。おそらく、検体中にウイルスが含まれていなかったのでしょう。現在の日本では標準的なPCR検査では「下気道由来検体」と「鼻咽頭(いんとう)ぬぐい液」の2検体を検査することになっています。下気道由来検体は、たんか気管吸引液で採取します。鼻咽頭ぬぐい液を取るときは、インフルエンザ迅速試験でおなじみの、鼻の奥にスワブ(長い綿棒のようなもの)を差し込みます。
しかし、たんを出せるとは限りませんし、出したつもりでも唾液(だえき)だけだったりします。気管吸引液は人工呼吸器管理や気管支鏡検査中にでないと採取困難です。鼻咽頭ぬぐい液は、スワブの差し込み方が不十分だと良い検体が取れませんし、良い検体がとれても鼻咽頭にはウイルスがいないかもしれません。重症例では下気道でウイルス量が多く、鼻咽頭を含む上気道ではウイルス量が減る傾向が知られています。
他にも偽陰性が生じる原因はありますが、以上に述べたような検体不良が偽陰性の主な理由でしょう。
検体採取の失敗を偽陰性の主な原因としています。
しかし、検体中にウイルスが含まれていなければPCR検査で検出できないのは当然です。
【医療の現場から】PCR検査は増えるのか(後編) なぜ偽陽性、偽陰性の結果出るのか詳細
https://encount.press/archives/46081/ 西村秀一 国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター・臨床検査科
PCR検査の精度に立ち返ってみますと、なぜ7割しかないのか。まず、偽陰性の場合ですが、検体の質の問題があります。つまり、検体の採取がうまくいっていない場合があると思われます。たとえば、最初に肺から感染が始まった患者の場合は喀痰(いわゆる痰)をとれば陽性になる確度が高くなるのですが、通常のPCR検査では綿棒を鼻の奥に突っ込んで採取していますので、なかなか陽性にはなりません。
そういう例もあるかと思えば、軽症者の場合では鼻の奥の方だけでウイルスが増えていることが多いので、検体採取の際鼻先だけで検体を採取してしまってウイルスを取り損ねている可能性があります。ですから、もし症状からコロナが疑われるのに陰性と出てしまうのなら、検体採取の仕方を工夫しなければなりません。
PCR論争に寄せて─PCR検査を行っている立場から検査の飛躍的増大を求める声に
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202004/565349.html 西村秀一 国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター・臨床検査科
2.PCR検査の意義、限界を知ってほしい
1)まずは一番多い偽陰性について
検体採取の仕方が下手であれば、あるものも「ない」となる。
検体採取が上手くいっていないのであれば検体採取の仕方を工夫すべきというのは当然の意見です。
この人も検体採取の失敗をPCR検査の偽陰性の主な原因としています。
検体採取が下手で検体中にウイルスが含まれていないのならば、検査が陰性になるのは当たり前です。
PCR検査に限らず、どんな検査でも当然そうなります。
検体採取が下手で本来陽性になるはずのものが陰性になる事例を例に挙げ、PCR検査の感度が低いと主張していますが正しい主張でしょうか?
この事例はPCR検査の精度の問題ではなく、検体採取者の手技の問題です。
検体採取者の手技の問題は、厚生労働省のマニュアルのように複数の検体を用いて検査を行い、感染が疑われる場合は感染者として扱い、PCR検査を繰り返すことで解決できるはずです。
検体採取から検査までの間にRNAをロスする場合
新型コロナウイルスのPCR検査が「偽陰性」となる原因は?
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanagitaemmy/20200407-00171676/ 柳田絵美衣 臨床検査技師
■RNAの性質に関する原因
・RNAを正しく取り扱っているのか
RNAはDNAよりも不安定な性質であり、分解されやすい性質である。
我々のだ液や汗、空気中のホコリなどの中にはRNAを分解する物質が含まれている。そのために、RNAを取り扱うときは、適切な設備や器具が必要となる。さらに、RNAは低温で取扱う必要がある。つまり、RNAを正しく取り扱わなくては分解されてしまい、正しいデータは得られず「偽陰性」となる場合もある。
RNAはDNAと比べ不安定ですので、不適切な扱いで検査を行うまでの間にロスしてしまう可能性はあります。
検体の扱いは「2019-nCoV (新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル 〜2020/06/02 更新版〜」 に沿って適切に扱われているはずです。https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2518-lab/9325-manual.html
不適切な扱いで偽陰性となってしまうのがどの程度の割合であるのかは不明です。
コロナウイルスPCR検査の偽陰性の立証
コロナウイルスPCR検査の偽陰性を「コロナウイルスに感染しているがPCR検査で陰性」とした場合、本当に偽陰性であったのかの立証はほぼ不可能です。
PCR陰性の感染者から広がった院内感染 精度に限界
朝日新聞DIGITAL 2020年6月1日
4月12日、発熱があった患者に医師の判断でPCR検査をした。新型コロナとは違う病気で入院予定だった。結果は陰性。念のために個室に入り、CT検査もしたが肺炎の疑いはみられなかった。
検査から1週間後、患者は他の患者もいる大部屋に移り、数日過ごして退院した。しかし、発熱が続いて再入院すると、PCR検査で陽性と出た。病院は翌日、前回の入院で患者が過ごした大部屋にいた患者や担当の職員を検査。計7人の感染が判明した。
PCR検査の偽陰性の事例のように思えます。
1度目のPCR検査が偽陰性だったとした場合、検体採取のタイミングの問題だったのか、検体採取ミスが原因だったのか、検体輸送中のRNAのロスだったのかは不明です。
また1度目のPCR検査時に本当に感染していたのかどうかも不明ですので、偽陰性であったという立証は不可能です。
大部屋にいた他の患者や医療従事者が感染源となっていた可能性も否定できません。
これだけの情報ではPCR検査の偽陰性の事例であるとは言い切れないのです。
PCR陰性の感染者から広がった院内感染 精度に限界
朝日新聞DIGITAL 2020年6月1日
同様のことは後日、別の大部屋でも起きた。5月2日に新型コロナの感染疑いで入院した患者は、PCR検査で陰性。CT検査も異常はみられなかった。2日後に大部屋に移り、その後、この部屋の患者で発熱が相次いだ。大部屋に移った患者を含め、患者計7人の感染が確認された。
これもPCR検査の偽陰性の事例であるとは言い切れません。
この病院があるのは感染者が多数出ている神奈川県です。
大部屋にいた他の患者や医療従事者が感染源となっていた可能性は否定できません。
この報道からわかることは誰が感染源になってたのかを特定することは困難であるということと感染者が多数出ている地域では無症状者にも検査を行うべきということです。
(検体を保管しておき、ウイルス増殖試験等を行えば偽陰性の立証は可能かもしれませんが現実的ではありません。検体中にウイルスが含まれていなければ、どんな検査でも検出できません)
コロナウイルスPCR検査の感度が70%であるとする根拠
中国の論文を根拠にPCR検査の感度が70%であると主張する人達がいます。
以前記事にしましたがロックダウン中の武漢の病院で行われた研究であり、陽性率の低い検査キットを用いたものでした。
鼻咽頭、下気道の2検体を用いて検査(大阪は1検体)をしている日本で、何故同程度の感度になると考えるのかは理解に苦しみます。
コロナウイルスPCR検査の感度は高いとする論文もありますが、ほとんどの専門家に無視されています。
https://pubs.rsna.org/doi/10.1148/radiol.2020200343
コロナウイルスPCR検査の感度、特異度の定義について
コロナウイルスPCR検査の感度が70%程度であると主張する人達のコロナウイルスPCR検査の陽性、陰性、偽陽性、偽陰性の定義は次のようになっています。
- 陽性:コロナウイルスに感染していてPCR検査で陽性
- 陰性:コロナウイルスに感染していないくてPCR検査で陰性
- 偽陽性:コロナウイルスに感染していないがPCR検査で陽性
- 偽陰性:コロナウイルスに感染しているがPCR検査で陰性
このように定義する場合の問題点は
- 検体採取のミスが偽陰性の事例とされてしまい、PCR検査の精度に問題があるかのようにされてしまう
- 正確な感度、特異度は永久に不明
検体採取ミスまでもPCR検査の偽陰性の事例としてしまうので正確な感度、特異度は永久にわかりません。
検体採取ミスまでもPCR検査の偽陰性としてしまうのは正しいことなのでしょうか?
インフルエンザ迅速検査(抗原検査)の感度について
インフルエンザ迅速検査の感度は約60%とされています。
インフルエンザの診断に迅速検査は本当に必要?
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20191202-00143812/ 感染症専門医 忽那賢志
感度というのは「本当にインフルエンザであるヒトのうち、このインフルエンザ迅速診断キットで陽性となるヒトの割合」のことです。
インフルエンザ迅速診断キットの感度はだいたい60%くらいと言われています(Ann Intern Med. 2012;156(7):500.)。
この60%というのはどのようにして調べたのでしょうか?
インフルエンザ迅速検査キットの現状
https://www.h-osaki.jp/wp/wp-content/uploads/2016/04/ICT%E3%81%A0%E3%82%88%E3%82%8A91%E5%8F%B7%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6%E8%BF%85%E9%80%9F%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6201603.pdf
2012年に発表されたメタアナリシス(複数の論文をまとめて統計学的に有効性を推測 する手法でエビデンスレベルが高い)によれば、RT-PCR と迅速検査キットでのインフルエンザ診断の比較では、インフルエンザ A 型の感度は 64.6%(95%信頼区間 59.0~ 70.1)、特異度は 99.1%(95%信頼区間 98.7~99.4)、インフルエンザ B 型の感 度は 52.2%(95%信頼区間 45.0~59.3)、特異度は 99.8%(95%信頼区間 99.7~99.9)でした(Ann Intern Med 156:500-511, 2012)。
インフルエンザ迅速検査キットの感度は、それよりも感度の高いインフルエンザRT-PCR検査やウイルス培養の結果と比較し、決定されています。
参考論文ではインフルエンザRT-PCR検査の結果と比較し、インフルエンザ迅速検査の感度を求めています。
インフルエンザRT-PCR検査が参照とされてますので感度は100%と仮定されていると考えられます。
インフルエンザRT-PCR検査では検体採取ミスは、問題にはされていません。
検体採取ミスをインフルエンザRT-PCRの偽陰性としてしまうと感度が求められなくなるので当然です。
検査の感度を考える場合、その検査よりも感度が高い検査や同等の感度の検査と比較する必要があります。
上記の中国の論文ではCT検査を参照としてコロナウイルスPCR検査の感度(コロナウイルスに感染している人を正確に検出する確率)を調べています。
CT検査を参照とすることで検体採取ミスも含めてPCR検査の偽陰性とすることができています。
検体採取ミスをPCR検査の偽陰性としても良いのはCT検査のように感度の高い検査を参照とする場合に限られます。
ただしCT検査を参照にできるのは患者がCT検査でウイルス性肺炎と診断される時のみです。
またPCR検査を再度行い、陽性であることの確認も必要です。
CT検査でウイルス性肺炎と診断されない場合、CT検査を参照として用いることはできません。
従って無症状も含めたコロナウイルスPCR検査の感度を「コロナウイルスに感染している人を正確に検出する確率」としてしまうのは不適切です。
無症状の場合や肺炎症状が無い場合は参照が無いため、本当に偽陰性なのかどうかわからないからです。
これらをわかった上で確信犯的に無茶苦茶なことを書く人と理解せずに無茶苦茶な事を書く人がいます。
実例を見てみると
新型コロナ、PCR検査拡大は慎重に 誤判定がもたらす危険性
https://www.jcer.or.jp/blog/babazonoakira20200415.html 九州大学教授 馬場園明
PCR検査を拡大しない背景には、医学的な理由がある。最も重要な点は、検査の精度が低いことである。検査の精度は、感度と特異度の2つの観点から評価する。感度は感染者を陽性と判定できる確率であり、特異度は非感染者を陰性と判定できる確率である。PCR検査の感度は最大70%とされており、感染者の30%は検査で陰性と判定される。 【3】
たとえPCR検査が改善されたとしても、ウイルスを適切に採取できなかったり、検体が変性したりする可能性があるため、感度を100%にすることはできない。感染者が当初、陰性とされ、その後の検査で陽性になるのはこのためである。PCR検査の感度が低い弊害は明らかである。
前段落で参考文献として挙げているのは上で示した中国の論文です。
後段落を読むとPCR検査そのものの感度が低いと考えているようです。
参考文献として挙げている中国の論文は、まともに理解できておらず、PCR検査の原理も理解できていません。
おそらく、この人は確信犯ではなく、本当にわかっていないと思います。
無症状の妊婦に新型コロナPCR検査はすべきでない
https://webronza.asahi.com/science/articles/2020061600001.html?page=1 宮城県立こども病院産科部長 室月淳
PCR検査は見逃しが多く、スクリーニングの役に立たない
第一に、PCR検査で全例検査しても「スクリーニング(ふるい分け)」としてはあまり役立ちません。このことには少々解説が必要です。 PCR検査の特異度(陰性の人を正しく陰性と判定する割合)は99%以上といわれていて、この特徴を持つために診断確定に適した検査です。その一方で感度(陽性の人を正しく陽性と判定する割合)は40~70%と低く、感染の見逃しが半数近くと高くなります。
スクリーニング検査とはどういうものでしょうか。例として子宮頸がん検診を考えていただければわかりやすいでしょう。 これは、無症状の人を対象として産婦人科医が内診しておこなう「スメア細胞診」が一般的です。細胞を少しとって、そこにがんのような細胞が含まれていないか調べるものです。簡便で費用も高くなく、なにより感度が高い、すなわち見逃しが少ないことが特徴です。ただ、陽性だったからといってがんとは限りません。検診で陽性となった人は専門施設で精密検査を受け、その中から本当の子宮頸がんを見つけていくことになります。
つまり、スクリーニング検査は、このように感度が高い検査法が望ましいのです。特異度は多少低くてもかまいません。しかしCOVID-19のPCRは特異度が高いけれど感度は低い検査法ですから、そもそもスクリーニングに向いていません。
日本のように2検体で検査(大阪は1検体)を行い、精度の高い検査キットを用いて検査を行うにもかかわらず、感度が40~70%であると主張しています。
日本でのPCR検査は、粗悪な検査キットを使用していたロックダウン中の武漢の病院の検査よりも劣っていることになります。
子宮頸がんのがん検診の感度は71.4%です。
コロナウイルスPCR検査の感度が同程度だと都合が悪いので40~70%としているのでしょう。
検体採取ミスも偽陰性にしてしまえば、このように感度は自由に調整できます。
確信犯かもしれません。
ちなみに子宮頸がん検診について感度71.4%、特異度85.2%、罹患率0.0284%(年齢別罹患率で最も高い数値)で計算すると事後確率は0.1%です。
妊婦はPCR検査を受けるべき?
感度(かんど)と特異度(とくいど)
おおまかですが、このPCR検査では、感度が約70%、特異度がおよそ99.9%と言われています(ここではこの数値を用いて計算します)。つまり、
コロナ感染者に検査したら70%は陽性になった(30%は陰性)←感度
感染していない人は、99.9%の可能性で、結果は陰性となる←特異度という検査方法です。
http://tiny-life.org/pcrpregnancy/ 東邦大学医学部・東邦大学医療センター大森病院
教授 中田 雅彦
この人は感度70%、特異度99.9%の意味を正確に理解せずに書いているのでしょう。
感度70%、特異度99.9%としてベイズの定理を用い、事後確率が低いので検査をすべきではないと主張するお決まりのパターンです。
以前は特異度99%としていたのでしょうが批判を受けて以降、特異度を99.9%とするのがトレンドとなっているのでしょう。
重要‼️ 新型コロナ対策「PCR・抗体・CT」検査はよく間違える
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/373282/ 神戸大学大学院医学研究科 岩田健太郎
というのも、検査方法としてよく名前が挙がっている「PCR」の感度が6〜7割程度しかないからです。
超重要‼︎ 新型コロナ対策の戦略は「正しく診断」ではなく、「正しく判断」
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/373401/2/ 神戸大学大学院医学研究科 岩田健太郎
じつは病院で使うインフルエンザの迅速キットって、結構間違えるんです。新型コロナウイルスのPCRと同じく6割程度の感度しかありません。
コロナウイルスPCR検査の感度が6割と言ったり、6~7割と言ったりと検体採取のミスも偽陰性にしてしまうと感度に関しては正確な数値が絶対に出て来ないので適当に言いたい放題です。
自らの都合の良いように感度を調整できるのです。
インフルエンザ迅速キットの感度を6割としていますが根拠は上記の忽那医師が参考としていた論文であると考えられます。
インフルエンザRT-PCR検査は検体採取ミスは起こらず、偽陰性は起こらないがコロナウイルスRT-PCR検査は検体採取ミスが多発し、感度が6割になると言っているのです。
このようにコロナウイルスPCR検査の感度を「コロナウイルスに感染している人を正確に検出する確率」とすることでいい加減なことを言いたい放題できるのが日本の現状です。