コロナウイルス感染症

橋下徹氏の支離滅裂な新型コロナPCR検査論

随分前に橋下徹氏が新型コロナPCR検査を受けるまでの経緯を記事にしました。
橋下氏は相も変わらず詭弁を弄して自らの主張を正当化しています。

検査拡大に反対

橋下徹「なぜ今、日本では新型コロナの検査を拡大してはいけないか」

新型コロナウイルスに感染したかどうかはPCR検査というもので判断する。日本はこの検査が少ない! と、特にメディアや一部の専門家から徹底的な批判の声が上がった。朝、昼、夕方のすべての情報番組では、一貫して、希望者全員に検査をしろ! という論調だった。



検査して陽性反応が出てしまうと、たとえその人が無症状者や軽症者であっても、専門医療機関に入院させ、自治体の感染症対応機関によって濃厚接触者の調査が行われる。現在の仕組みでは大変な作業が発生することに変わりがない。ゆえに検査が増えれば増えるほど、医療機関や感染症対応機関における負担が著しく増え、現場は疲弊する。そのことによって、本来救わなければならない重症者に対して、医療がサポートできなくなる危険性が高まってくる。

https://president.jp/articles/-/33597
2020年3月18日  プレジデントオンライン 

検査体制を拡充すると医療崩壊すると主張していた人は多数いました。

PCR検査体制を拡充すると医療崩壊が起こるという説について 日本では、PCR検査体制を拡充すると医療崩壊が起こるのでむやみに検査をすべきではないという意見がありました。イタリアと韓国の医療崩壊の...

「とにかくPCR検査をどんどんやって、陽性か陰性かを確定すべきだ。そして陽性でも無症状だったり、軽症だったりした人は自宅で療養してもらえばいい。国民は、自分が陽性か陰性かわからないから不安になる。陽性だとわかれば、他人に感染しないように注意をすることができるのだから、検査をやった方がいい」というものだ。

しかし、このような意見には重大な認識の欠如がある。それは「人間は陽性反応が出ると、たとえ軽症であっても医療機関に対応を求めてくるものだ」という医療現場の切実な認識についてだ。



ここで問題なのは、現状では、無症状者にはもちろん軽症者に対しても、特段の治療方法や治療薬があるわけではなく、医療機関としては通常の風邪と同じ対応をするくらいしかやりようがないということだ。そうであれば、無症状や軽症の場合には、通常の風邪対応と同じように自宅で療養してもらっていた方がいい。医療機関の負担を軽減でき、重症者に対応するための余裕が確保できるからだ。

https://president.jp/articles/-/33597?page=2
2020年3月18日  プレジデントオンライン 

橋下徹氏「10~40歳の元気な人は家で寝とけ」全員PCR検査は不要

これに対し橋下氏は、「PCRも重症化するような人を見つける為に必要で、一般の人がPCRをどんどんやる必要はないんですよ」と反論。「はっきり言って10歳から40歳くらいの元気な人は、普通の風邪のような感じで家で寝とけって政府がバシっと言えばいいんですよ。全員PCRなんかやらなくていいんですよ。やれやれやれやれって不必要なこと煽るからおかしくなる。いらないんです。だって、やったってどうするんですか?」と私見を述べた。

https://www.sanspo.com/article/20200229-QS2HUM2XXVJJRKXLEG3OYK3RPU/
2020年2月29日 サンスポ

「軽症者は家で寝てろ」という主張です。
肺炎を自宅で治すというまるで未開の地に住んでいるかのような主張ですが、真に受けて犠牲になった人もいるでしょう。

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その後、橋下氏は平熱で検査を受けることとなります。
経緯は下記の記事を参照して下さい。

橋下徹氏の変節の経緯から見るコロナウイルス検査の必要性 橋下氏はコロナウイルス検査には否定的な立場でした。 橋下氏は、「PCRも重症化するような人を見つける為に必要で、一般の人がPCR...

橋下氏はこの後も自らの主張を正当化し続けます。

PCR検査拡大論者に「反省して」

橋下徹氏、PCR検査拡大論者に「反省して」 五輪代表団の陽性者への対応例示

橋下氏は、「こういう状況を見てもらえればね、今までずーっと、PCR検査を『いつでも、だれでも、どこでも、みんなでやることによって陽性者を隔離する』なんてことを言ってた人、たくさんいますけど、(隔離は)できないんですよ、1回のPCR検査では」とバッサリ。ウガンダ代表団が複数回の検査をしていたことを具体例に「何回も何回も繰り返し(検査)することによってしか、こういう風に対応できない。とにかくむやみに検査拡大を言ってた人たちは、よくこれを見て反省してもらいたいです」とあきれながら指摘した。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c5c79b804e21d93543e3b02358c618fc57cfdc63
2021年6月20日

橋下氏は繰り返し検査することの重要性を指摘します。
この主張自体は間違いではありませんが「軽症者は家で寝てろ」と主張していた人の発言とは思えません。

検査拡大を主張する場合、1回の検査で充分で複数回の検査は不要と主張する人は皆無です。
この事例で検査拡大を主張する人を批判するのは筋違いです。

「軽症者は家で寝てろ」という検査抑制論で複数回どころか1回も検査を受けることができなかった人が多数います。
検査体制を拡充しないことには複数回どころか1回の検査も行うことができません。
橋下氏には「軽症者は家で寝てろ」と主張し、検査の拡充を妨害していたことへの反省の色は見られません。

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2020年2月1日~3月31日
全国で313,475件の相談がありましたが、検査を実施したのはわずか12,595件(4.0%)
東京では41,105件の相談がありましたが、検査を実施したのはわずか964件(2.3%)

オリパラ関係者のような強制的繰り返しが必要

橋下元知事、首相が打ち出した高齢者施設PCR検査伸び悩みに「やるならオリパラ関係者のような強制的繰り返しが必要」と持論

元大阪府知事で弁護士の橋下徹さん(51)が20日、自身のツイッターを更新。新型コロナ感染防止策として菅首相が打ち出した高齢者施設職員らへの集中的なPCR検査が伸び悩んでいるという一部報道について「いつでも誰でもどこでもの闇雲無戦略検査拡大には意味がない」と持論を展開し、一律の検査拡大による感染抑止という考え方に対して改めて疑問を示した。 

橋下さんは検査について「やるなら、オリパラ関係者にやっているような強制的繰り返し検査が必要だ。しかしそのようなことを日本国民全員にやれるわけがない。ゆえに検査拡大によって感染を抑止することは不可能。検査拡大は状況把握のため、また症状のある者やその周辺、高齢者施設などのリスクの高いところに半ば強制でやるべき」と、戦略的な検査の在り方を提言した。

https://www.chunichi.co.jp/article/276111
2021年6月20日 中スポ

この記事を読んで理解できる人はいるのでしょうか?
橋下氏のツイートを見てみます。

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高齢者施設検査、半数にとどまる 首相の打ち出し浸透せず

新型コロナウイルス感染防止策として菅義偉首相が打ち出した高齢者施設で働く職員らへの集中的なPCR検査で、4月以降に検査を受けた施設が約半数にとどまっていることが20日、厚生労働省の調査で分かった。4割は申し込みすらしていなかった。陽性者判明で運営に支障が出ると懸念し、検査を避ける施設があるとみられる。対策が現場の実情を反映せず、機能していない実態が浮かび上がった。  首相は3月、高齢者施設でクラスター(感染者集団)発生が相次いだことから「3月末までに3万カ所実施」を宣言し、「4月以降も集中的、定期的に検査する」と表明していた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c7751a2be2d880ecae0741d191a97e9d276e0087
2021年6月20日 KYODO
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橋下氏が引用した記事は「高齢者施設で働く職員に対する定期検査」が充分にできていないという内容です。
「高齢者施設で働く職員に対する定期検査」は分科会も反対しておらず、世田谷区等で行われています。
この記事を受けてどのようにして「ゆえに」以下とつながるのかが理解不能です。

世田谷区のコロナウイルスPCR検査について 世田谷区の保坂区長は「いつでも、誰でも、何度でも」検査を受けることができるように検査体制の整備を続けています。世田谷区のコロナウイルス...

1回の検査は安全にはつながらない

「1回の検査は安全にはつながらない」という主張です。

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橋下氏は事前確率の低い無症状者に対する検査には反対しています。

コロナ、低リスク無症状は公費検査の対象外 分科会提言

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は16日、無症状の人に対するPCRなど感染を確認する検査について、感染している可能性が高い人を除き、公費で行う行政検査の対象にしない方針で合意、政府に提言した。政府は今後、提言を踏まえて検査体制を整備する。

分科会は感染している可能性が低い人について、膨大な検査をしても陽性者はわずかで、感染拡大防止の効果も薄いと判断した。

https://www.asahi.com/articles/ASN7K025TN7JULBJ014.html
2020年7月17日 朝日新聞DIGITAL


分科会は無症状者に対する検査(濃厚接触者や高リスク者を除く)は公費の対象外としています。
この考え方では事前確率の低い団体旅行前の全員検査は公費対象外となります。
(団体旅行を高リスクと解釈すれば公費対象となるかもしれませんが)
従って分科会と同様、事前確率の低い検査に反対している橋下氏は当然、公費による修学旅行前の全員検査には反対すると考えられます。

「日本城タクシー」氏はそれを踏まえて団体旅行前の全員検査の必要性を主張しています。
それに対して橋下氏は1回の検査では意味が無いと主張します。

この主張では1回の検査では団体旅行をどんどん認めるべきではないと読み取れます。
しかし、橋下氏は別の記事で次のように主張しています。

橋下徹氏“人流抑制”柱のコロナ対策に「反対」 努力が水の泡に「感染対策なんてバカらしくなる」

元大阪市長で弁護士の橋下徹氏(51)が19日放送のフジテレビ系ニュース番組「Live News イット!」(月~金曜後3・45)にリモート出演。東京都の小池百合子知事をはじめ、全国の知事が人流抑制を強く呼びかけていることに対し、新型コロナ感染対策として「“人流の抑制”を柱にするのは反対」と主張した。

橋下氏は冒頭「本当に人流を止めるなら昼間の営業も止めなければならない。ただ、僕は“人流の抑制”を柱にするのは反対なんですよ。これをしてしまうと感染対策というものが全部吹っ飛んで、何から何まで全部停止になりますよ。それは違うんじゃないかと」とコメント。「やっぱり飛沫感染なワケでしょ。そしたら対策をきっちりやっているところは営業を認めるということをやらないと、感染対策なんてバカらしくて誰もやらなくなりますよ」と続けた。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/04/19/kiji/20210419s00041000448000c.html
2021年4月19日 スポニチ

「団体旅行前の1回検査」は完全な対策ではありませんが、何もしないよりは良いです。
橋下氏は感染対策を行っている店舗に対する人流抑制に反対しておきながら、団体旅行に対しては1回の検査では不充分であるとゼロリスクを要求します。

橋下氏は店舗の感染対策と比較して、「団体旅行前の1回検査」の有効性は非常に低いという考えなのでしょうか?

強制性の方が重要と主張しますが「日本城タクシー」氏は団体旅行で「全員」コロナ検査と書いていますので何故強制性や任意の検査の話が出てくるのかは謎です。

橋下氏は「団体旅行前の1回検査」は危険という考えのようです。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 修学旅行2.jpg

緊急事態でも修学旅行実施 大阪市長「五輪やっている」

大阪市の松井一郎市長は30日の記者会見で、大阪府などに新型コロナ対応の緊急事態宣言が出されても、8月に予定されている市立中学校4校の修学旅行は実施すると表明した。出発前に生徒全員にPCR検査を行い、陰性が確認された人が参加する仕組みとする。「感染者がいなければオリンピックもやっている。一生の思い出に残る行事は実施したい」と述べた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/788a8ed4e5e680919aa666826075a95f4f7eef2e
2021年7月30日 朝日新聞DIGITAL

「団体旅行前の1回検査」は危険という考えであれば仮に修学旅行を行うのであれば出発前、旅行中含め複数回の検査が必要と考えるはずです。
橋下氏は松井市長に修学旅行での複数回の検査を要求するのでしょうか?

「団体旅行前の1回検査」は危険と主張する橋下氏ですが次のような記事がありました。

橋下徹氏 コロナ感染者判明で帰港の「飛鳥2」の対応「すごくいい事例」

元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏が2日、フジテレビ系「日曜報道THE PRIME」にリモート出演。乗客の男性1人が新型コロナウイルスに感染し、横浜に帰港したクルーズ船「飛鳥2」の対応について「こういうことを国が旗を振ってやらなきゃいけない」と対応を評価した。

飛鳥2は4月29日の出港後に2度目のPCR検査結果が出て1人の陽性が判明。今月1日に横浜に帰港した。橋下氏は「すごくいい事例。本当はこういうことをもっと早く国が旗を振ってやらなきゃいけない」と徹底した検査と対策を国も参考にすべきとした。

橋下氏は「人流抑留ではなくまずは感染対策。感染対策をやればまた経済対策できる。PCR検査も学ぶべきことがあり、むやみやたらではく一斉検査。だから(飛鳥2は感染者を)見つけることができた。一斉検査して陽性者が出たら隔離する。こういうことをイベントや集客施設でやれば経済活動できるという証になった」と、社会生活に応用すべきとの考えを示した。

また「僕は去年から、政府がこういう実証実験的なことをするべきだと言い続けた」とし「エンタメ界もスポーツ界も百貨店も、いろんな感染対策をしながら営業していた。(国は)モニタリングで、こうすれば感染拡大しないというものを積み上げることをしなかった。結局、(感染症対策分科会の)尾身会長もショッピングセンターを休業させるのにエビデンスがないと言う。日本の政治でダメなのは根拠のない人流抑制になって、営業の制限をしてしまったこと」と批判した。

https://www.daily.co.jp/gossip/2021/05/02/0014292809.shtml
2021年5月2日 デイリー

飛鳥2の検査は次のようなものです。

https://asuka-web.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/wp-content/uploads/2021/06/14164051/0c83e1ee68e876091534c27938d7b8ce.pdf

飛鳥2では乗船14~10日前の事前PCR検査と当日PCR検査の2回の検査を行うことになっています。

新型コロナの他者への感染可能期間は平均9~12日間であり、PCR検査陽性期間との関係で考えると飛鳥2の2回検査と「団体旅行前の1回検査」は他者への感染防止の面からは大差無いことがわかります。

橋下氏は飛鳥2の検査を絶賛し、「団体旅行前の1回の検査」を危険視していますが一体どういう理由なのでしょうか?

そもそもの話として飛鳥2の検査や「団体旅行前の一斉検査」は事前確率の低い検査であり、専門家会議や分科会、橋下氏は一貫して反対してきました。
橋下氏は事前確率の低い検査に賛成なのか、反対なのか、一体どちらなのでしょうか?

無理やり解釈すると橋下氏は事前確率の低い検査であっても、一斉検査なら良いと主張しているようにも思えます。
(「団体旅行前の1回検査」は危険という主張と矛盾しますが)

広島県の無症状者検査を批判

能力限界、PCR見直し 広島県「読み甘い」苦言も

広島県は13日、新型コロナウイルスの無症状の感染者を早く発見するために広げたPCR検査態勢の見直しを始めた。感染者の急増で優先して検査すべき接触者たちが増え、能力が限界に近づいているためだ。広島、福山両市の事業所向け集中検査と、薬局での検査キットの配布は同日までに一時停止し、再開時期は未定という。感染者の急増を読み切れず、独自の拡大戦略が足踏みしている。

県によると、両市の従業員10人以上の全ての事業所を対象にした検査のうち、6日から受け付けていた広島市分の予約は11、12日、相次いで止めた。福山市は13日朝から予約を始めたが、すぐに停止した。予約済みは広島市で約7万人、福山市で約2万人。当初は広島市で20万人、福山市で8万人を見込んでいた。

https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=753682&comment_sub_id=0&category_id=112
2021年5月13日 中国新聞

広島県では感染拡大により、無症状者への検査を一時停止しました。

「両市の従業員10人以上の全ての事業所を対象にした検査のうち、6日から受け付けていた広島市分の予約は11、12日、相次いで止めた」とあるように中止になったのは従業員の一斉検査です。
(形式上は任意ですが事業所が検査を希望する場合、従業員が検査を拒否することは考えにくいので実質従業員の一斉検査となるでしょう)

https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/2019-ncov/pcr-2021spring.html

橋下氏は広島県が行っている従業員の一斉検査には反対なのでしょうか?
橋下氏は飛鳥2での検査を絶賛していたことから事前確率の低い検査であっても、一斉検査なら良いと考えているようですが違うのでしょうか?

感染拡大により、無症状者への検査が後回しになるのは仕方の無い面があります。
このようにならないために更なる検査体制の拡充が必要でしょう。

しかし、感染拡大により検査ができなくなったのは広島県の無症状者検査だけではありません。

「積極的疫学調査」を縮小 高齢者らの対応優先―東京都

東京都は22日、新型コロナウイルスの感染者急増を受け、感染経路を追跡する「積極的疫学調査」の対象を同日から縮小することを決め、都内の保健所に通知した。高齢者ら重症化リスクのある感染者への対応を優先する。

 調査対象を、医療機関や高齢者施設の関係者の感染など、濃厚接触者に重症化リスクのある人が多いと想定される場合に絞り込み、保健所の負担軽減を図る。それ以外は、誰が濃厚接触者に当たるかの判断は感染者本人や企業、学校などに任せる。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012201286&g=soc
2021年1月22日 JIJI.com

感染拡大により積極的疫学調査が縮小されています。
感染拡大により、無症状者検査を中止した広島県を批判した橋下氏は感染拡大により積極的疫学調査が縮小されることを問題視しないのは何故なのでしょうか?

新型コロナウイルス感染症クラスター対策の基になった押谷氏の理論を検証 新型コロナウイルス感染対策が破綻しつつあることを記事にしました。新型コロナウイルス感染症クラスター対策の基になった押谷氏の理論を検証し...

感染拡大により、無症状者への検査が後回しになりましたが広島県では大パニックは起こっていません。
広島県の例を見てもわかるように検査体制が逼迫した場合、後回しにされるのは無症状者への検査であり、重症者への検査ではありません。
検査体制の拡充が行われない場合、有症状者に対する検査を優先しても検査体制が逼迫すると最終的には大阪のようになります。

PCR検査、大阪で最長10日待ち=医師「保健所受け付けず」―民間委託で拡充急ぐ

新型コロナウイルスの感染者数が1600人に達した大阪府で、保健所がPCR検査が必要と判断してから実際に検査するまで、最長で10日程度かかっていたことが3日、大阪市保健所への取材で分かった。

患者の急増に検査態勢が追い付いておらず、検査を待つ間に容体が悪化して入院したケースもあった。府は民間検査機関の活用も進めるなど検査能力の拡充を急いでいる。

府内では、大阪健康安全基盤研究所(大阪市)や医療機関などで1日当たり計約420件の検査能力がある。府は検体採取場所を増やし、民間検査機関にも委託することで、約890件に拡充する見込みだ。

しかし、感染者の4割が集中する大阪市では4月中旬、相談から検査までに最長10日間かかっていた。重症者やクラスター(感染者集団)の検査を優先したが、待機中に容体が急変して入院した人もいたという。

大型連休中で検査が減少した1日時点でも、5日程度の待ち時間が生じていた。

新型コロナが疑われる患者が訪れる地域の開業医も対応に苦慮する。府内のあるクリニックには発熱した人がほぼ毎日来院するが、他の患者とは別の時間帯に、防護服を着込んで診察している。男性院長は「保健所は必要な検査をほとんど受け付けていない」と語気を強める。

院長によると、患者に肺炎の所見があるにもかかわらず、保健所に検査を断られたケースがあった。発熱した別の介護職員は検査を受けられず、仕事に復帰できないまま2週間の自宅待機を余儀なくされているという。

院長は「検査を受けられずに39度の熱が続くのがどれだけつらいか。医療崩壊を防ぐため、患者に過度な負担を強いている現状が気の毒でならない」と話した。

https://www.arabnews.jp/article/japan/article_14058/
2020年5月3日

「軽症者は家で寝てろ」という検査抑制論で必要な人が検査を受けられなくなったり、軽症者が重症化し、家で亡くなることはあっても重症者が守られたという事実はありません。

橋下氏は広島県の事例から「軽症者は家で寝てろ」という自らの主張を正当化することはできません。

検査の強制性について

橋下徹氏、コロナ検査に提言「検査を強制的にやらせるっていう仕組みまで作らないと効果は出ない」

新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長(71)が「緊急事態宣言は次はもう出せない。大規模な抗原検査を」などと提言したことについて、コメンテーターで出演の元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(51)は「僕はPCR検査を少なくしろ、絞れと言っているわけでない。むやみに広げることに意味がないでしょうと。今までは検査を広げろって声ばかり強すぎて、全然、戦略性がなかった」と指摘。

その上で「今回、尾身さんが言っているのは、検査を闇雲に広げていくことではなく、感染者を見つけるために感染者がいそうな所を検査していきましょうということ。完全無症状者に検査をするんじゃなくて、ちょっとでも症状がありそうな人を検査する、陽性になった人の周りは無症状であっても検査する。今回、感染者を見つけるための戦略が出たわけです」と続けると、「ただ、尾身さんは政治のプロじゃないので、ここまでの提言を出して、すぐ検査が広がるかと言ったら違う。今の検査体制は任意なんですよ。やるかどうかは自由なんです。感染者が本当に検査を受けてくれないと意味がない。検査を広げるだけでなく、ある意味、なかば強制的にやらなきゃ意味ないですよと。しかし、強制的にやろうとすると法律の根拠が必要で、それがないんですよ」と話した。

その上で「エンタメ業界の人などは陽性者が出ると、仕事が止まってしまうし、自ら責任を持って積極的に検査を受けますが、普通の人は無症状だったら検査を受けません。陽性になったら、仕事が止まってしまうんで。モニタリングの無料検査だって、誰もやってませんよ。検査を強制的にやらせるっていう仕組みまで作らないと、効果は出ないと思います」と提言していた。

https://hochi.news/articles/20210510-OHT1T51014.html
2021年5月10日 スポーツ報知

「完全無症状者に検査をするんじゃなくて、ちょっとでも症状がありそうな人を検査する、陽性になった人の周りは無症状であっても検査する。今回、感染者を見つけるための戦略が出たわけです」とありますが、飛鳥2の無症状者検査を絶賛していたことと整合性が取れません。

橋下氏は、これまでの主張と同様に任意検査の限界を指摘し、強制的な検査の必要性を主張しています。
任意検査で、できるだけ多くの人に検査を受けてもらうためにはどのようにしたら良いのでしょうか?
PCR検査の必要性、有用性を国民に訴え、検査を受けることを勧めることが重要です。
ところが橋下氏は「一斉検査以外の無症状者の検査は意味が無い」と主張し続けています。
このような主張を広めることで任意検査を受ける人が増えるのでしょうか?

橋下氏は自らが任意検査の有用性を低下させる行為を行いながら、任意検査の限界を指摘するという矛盾した行為を平気で行っています。

民間検査を野良検査と呼び、批判する人達がいます。
これも任意検査の有用性を低下させる行為であり、感染対策にとっては有害行為です。

「野良」誤用について考える 鈴木貞夫氏はソフトバンクの検査を「野良検査」と命名し、批判していました。しかし、「野良検査」という用語は明らかな誤用です。 ht...

検査を受けない人

新型コロナ「抗体カクテル療法」に黒岩知事「大きな課題がある」

橋下氏:
それでは無症状陽性者の感染拡大は止められない。検査の目的はきちんと明らかにしなければいけない。症状ある人が自分の治療を早く適切に受けるために検査をやることには賛成だ。だけど、無症状陽性者を検査で見つけるなんていうのは不可能だ。中国のように、確か先日南京市で150人の感染者が出たとたんに、960万人の市民を一斉に検査やるわけだ。しかも、もう3巡目やっているらしい。こんなことは日本ではできない。だから無症状陽性者をあぶり出して、感染を抑止する、感染拡大を防止するということは検査では不可能だ。あくまでも症状が出た人が適切に治療を受けるための検査だということをはっきりさせないと、皆混乱する。



橋下氏:
感染症の専門家、政治行政の感覚と国民の感覚は違う。症状がないのに積極的に検査をやって、陽性になることを求める人は少ない。陽性になったら仕事が止まってしまうから。だから無症状の場合にはできる限り陽性になりたくない。仮に調べたとしても、陽性だということを言う人も少ないだろうし、無症状の人が僕も含めて定期的に検査やっているかと言えば、検査やっていないから。やはり症状がある人が検査をやることが前提であり、黒岩知事が言うように無症状の人まであぶりだすことは検査では不可能だということをはっきり言わないと、一部識者、一部コメンテーターはいまだに(「検査しろ、検査しろ」と)言っているから。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2f5263524d6d7f13f37c1ff8a36c38ddcfd14eb7
2021年8月1日 FNNプライムオンライン

「症状がないのに積極的に検査をやって、陽性になることを求める人は少ない。陽性になったら仕事が止まってしまうから。だから無症状の場合にはできる限り陽性になりたくない」という人は一定数いるでしょう。
しかし、このような状況を招いたのは一体誰の責任でしょうか?

橋下氏は「一斉検査以外の無症状者の検査は意味がない」「軽症者は家で寝てろ」等の主張を続け、政府は検査を抑制するために濃厚接触者の定義を恣意的に運用し、いいかげんな感染対策を続けてきました。
こういう状況では、何の補償も無ければ検査を受けない人が現れるのは当然のことです。
橋下氏は自らの言動を顧みることは無いのでしょうか?

イギリスの週2回の無料検査について

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「比較するときには前提条件を揃えなければならない」は正しい主張です。
しかし、橋下氏は次のように主張します。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 強制検査.jpg

橋下氏はイギリスと中国の検査を比較し、イギリスの検査は任意検査だから感染拡大を止めることができなかったと主張しているようです。
しかし、イギリスと中国は感染状況が全く異なりますし、検査は感染対策の一手段にすぎないので、この事例のみで任意検査を否定するのは間違いです。

橋下氏は「比較するときには前提条件を揃えなければならない」と主張しておきながら、前提条件が異なる中国とイギリスを比較し、任意検査を否定します。

橋下氏に限ったことではないのですが欧米の状況から、検査による感染抑制は不可能と主張する人が後を絶ちません。
感染状況により感染対策の有用性が異なるのは当然のことです。
山火事に消火器は無意味ですがボヤには消火器は有効です。
日本の感染状況を考えると日本での週2回の無料検査は有効に働くと考えます。
(このまま感染拡大が続いた場合、有用性は低下するでしょうが)

まとめると

あまりにも橋下氏の主張が支離滅裂なのでまとめるのに苦労しました。
ここまで滅茶苦茶な人はなかなかいないでしょう。
いいかげんメディアはこの人を取り上げることはやめるべきです。

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