コロナウイルス感染症

コロナウイルス感染症のファクターXは?

日本を含む東アジアは欧米諸国と比べ、コロナウイルス感染症による死亡者が少ないため、何らかの要因(ファクターX)があるのではないかとされています。

日本人はコロナに強い?

致命率

IFRについては各国大きな違いはありません。(IFRは推測値ではありますが)
ダイヤモンドプリンセス号のCFR2.0%(712例中14例死亡、高齢者が多数)という数字からもわかるように日本人であっても感染してしまえば高確率(高齢者の場合)で死亡します。
この点については日本と欧米との間で大きな違いはありません。

コロナウイルス感染症の致命率について コロナウイルス感染症の致命率についてまとめます。 致命率(致命割合):CFR(Case Fatality Rate) 致...

感染防御力

感染が起こりやすい状況では日本人でも大多数が感染します。
日本人のコロナに対する感染防御力が欧米人とは異なっているとは考えられません。

新型コロナ 発生1週間で100人 ショーパブクラスター拡大なぜ 鹿児島市、県の感染情報で読み解く

踊りや会話で客を楽しませる店内は、従業員と客との距離が近く、歌や大きな笑い声も起こる。鹿児島市が「30~40人が訪れ、雨で換気のドアを閉めていた」と説明する6月27日に来店した客の感染者は31人に上る。

西教授は「ものすごい感染率。歌や張り上げた声で細かい飛沫が飛び交い、換気が不十分な状態が長時間続き、悪条件が重なった」と分析する。

https://373news.com/_news/?storyid=122422

島根県 強豪私立高校サッカー部員ら91人感染 クラスター発生

新たに感染が確認されたのは、松江市にある立正大淞南高校のサッカー部の学生寮で生活する男子部員80人と、自宅から通う男子部員6人、部に関係する教員2人、それに学生寮に出入りしていてすでに感染が確認されている男性の濃厚接触者3人の合わせて91人です。

このサッカー部では8日、男子部員1人の感染が確認されたため、帰省している部員を除く135人の部員全員と6人の教職員について9日検査していました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200810/k10012560471000.html

日本人はコロナに対する免疫を持っているので無症状の感染者が多いというのは間違いです。
日本と同様、欧米でも無症状の感染者が多数です。

コロナ陽性者の4割以上が無症状、イタリアの町全体の検査で判明

イタリア北東部のヴォーという町で、住人全員に対して新型コロナウイルス感染症の検査が行われた。その結果、陽性を示した人の4割以上はまったく症状がなかったそうだ。

https://www.excite.co.jp/news/article/Karapaia_52292363/

新型ウイルス、検査で陽性の大半が無症状=英統計局

イギリスの国家統計局(ONS)は7日、国内で新型コロナウイルス検査を受けて陽性と判明した人のうち、検査当日に症状があったのは22%だけだったと発表した。このことから、症状を確認できない人が感染を拡大する役割を果たしていることが判明した。

https://www.bbc.com/japanese/53330540

6月以降、感染者の多くが無症状者や軽症者なのでコロナが弱毒化しているのではないかと主張する人がいますが間違いです。
感染爆発を起こす前のイタリアでは無症状の感染者が多数発見されています。
無症状の感染者が感染を拡大させるのがコロナウイルス感染症の特徴です。

PCR検査体制を拡充すると医療崩壊が起こるという説について 日本では、PCR検査体制を拡充すると医療崩壊が起こるのでむやみに検査をすべきではないという意見がありました。イタリアと韓国の医療崩壊の...

致命率、感染防御力は欧米と大きな違いはありませんので日本人にはコロナウイルスに対する耐性があるわけではなさそうです。
ファクターXは日本人の体質とは関係なさそうです。

日本で欧米のように多数の死者が出ていないのは感染が広がらなかったからです。
日本人の体質とは関係なく、感染拡大防止に作用した要因がファクターXです。

ファクターXはマスク?

そうなると欧米との違いは生活様式にあると考えるのが妥当です。
欧米との違いは靴を脱ぐ文化やハグやキスをする習慣が無い等ありますが、一番大きな要因はマスクではないでしょうか?

マスク文化の無い欧米

「マスク着用」で意見衝突する欧米人の特殊事情

コロナウイルスが登場する前から「マスク文化」が根付いていた日本や韓国などのアジア圏とは違い、欧米ではコロナウイルスが登場してからも、初期段階では「マスクをする人」はそれほど多くありませんでした。マスクで風邪はもとよりコロナウイルスの感染を防ぐことはできない、というのが欧米のコンセンサスだったはずです。

https://toyokeizai.net/articles/-/344154

アメリカのトランプ大統領が公の場でなかなかマスクを着用しなかったように欧米ではいろいろとややこしい事情があるようです。
日本ではマスク文化が根付いており、マスク着用に反対する人はほとんどいません。

日本と世界のマスク消費量

http://www.jhpia.or.jp/data/data7.html

2019年の日本のマスクの生産量、輸入量は合わせて約64憶枚です。
マスク不足となり国内在庫がほとんどありませんでした(約1憶6000万枚)ので約64憶枚のほとんどが消費されたのでしょう。

世界マスク争奪戦 駆け引き過熱 生産量10倍増の中国存在感 新型コロナ

マスク不足の影響で存在感を高めているのが、世界最大のマスク供給国・中国だ。中国税関総署によると、3月1日~4月4日の1カ月強で中国が輸出したマスクは38億6000万枚。2018年の中国の生産量(45億4000万枚)の85%に当たる規模だ。

https://mainichi.jp/articles/20200409/k00/00m/030/307000c

世界のマスク生産量の約50%は中国です。
2018年の世界のマスク生産量は約90憶枚と推測されます。
これらの情報が正しいのであれば日本のマスク消費量は世界と比べると莫大な量になります。

日本では感染拡大前から無症状者もマスク着用

欧米ではマスクの効果が見直され、着用率が増加しています。
日本ではコロナウイルス感染症が拡大する前から無症状者も含め多数の人がマスクを着用していました。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-53399289

https://www.nrc.co.jp/nryg/200428.html

マスクの感染拡大防止効果

マスク着用の目的は感染防御というより、飛沫拡散防止による感染拡大防止です。
日本では無症状者を含め、多くの人がマスクを着用することで無症状者からの感染拡大防止につながったのではないでしょうか?

マスク義務化で感染大幅減か 「最も効果的」と米チーム

新型コロナウイルス対策でマスク着用により、イタリアで7万8千人、米ニューヨーク市で6万6千人以上の大幅な感染防止につながったとする推計を、米テキサスA&M大などのチームが11日、米科学誌電子版に発表した。マスクでしぶきや空気中の粒子で運ばれるウイルスの量が減るとみており、流行抑制に最も効果的だと主張している。

https://www.at-s.com/news/article/health/national/775299.html

マスクの効果に「確証」 新型コロナでドイツ大学

ドイツ・マインツ大学などの研究チームは8日、同国でのマスクの義務化が新型コロナウイルスの感染者を「大幅に減少させた」とする研究結果を発表した。早期に義務化した東部イエナの事例を基に比較・分析した結果、「統計的に強い確証」を得られたという。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020060900983&g=int

公共の場や屋外での感染拡大はマスク着用で防ぎつつ、マスクを着用していない状況での感染拡大(家庭内、飲食店)はクラスター対策である程度対応できていたのではないでしょうか?

「ファクターX=マスク」ならば

「ファクターX=マスク」であればコロナウイルス感染症の対策は明白になります。
マスク着用による無症状者からの感染拡大防止が死亡者減少につながったのであれば検査のハードルを下げ、無症状者の発見と隔離を積極的に進めるべきです。
和歌山県が行っているような検査体制が理想的ですが経済活動継続を考えるとそれだけでは不十分でしょう。

業種によってはJリーグ、プロ野球のように定期的なPCR検査の実施が必要になると思います。
これを全て民間任せにするのでは国としての感染対策を放棄しているようなものです。

今まで通り国民の努力頼みでは経済を停滞させたままの集団免疫獲得待ちになってしまいます。
無策なまま集団免疫獲得を目指すというのは頭がどうかしているとしか思えません。

内山先生は5月の段階で「ファクターX=マスク」と予想されていたようです。
他にも参考になる記事が多数あります。
https://fire-earlyretire.com/blog-entry-98.html

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