コロナウイルス感染症

新型肺炎感染者の飼い犬に弱陽性反応というニュースを見て。犬猫のコロナウイルス感染症について

香港で新型肺炎感染者の飼い犬を検査したところ、口と鼻から弱陽性反応が出たという報道がありました。

犬に腸炎を起こすコロナウイルス感染症は以前から知られており、予防注射があります。今回の新型肺炎を起こすコロナウイルス感染症との違い等、まとめます。

新型肺炎感染者の飼い犬に弱陽性反応

香港政府は28日、肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染者が飼っていた犬を検査したところ、口と鼻から弱陽性反応が出たと発表した。犬に特異な症状はないという。

SankeiBiz

報道を見る限りは感染経路は不明です。ヒトからイヌに感染したのかどうかは、わかりません。新型肺炎がイヌからヒト(ヒトからイヌ)に感染するのかは不明です(1)。

犬コロナウイルス感染症

犬コロナウイルスは、軽度の胃腸炎を引き起こすウイルスで、死亡率が低いことを特徴とします。ウイルスは糞便中に排泄され、経口摂取により感染します。食欲不振、嘔吐、水様性下痢、脱水等の症状を起こします。治療は対症療法になります。

犬コロナウイルスワクチン

犬コロナウイルスは予防接種により、予防が可能です。しかし、全ての動物に接種すべきとされるコアワクチンには含まれていません。 犬コロナウイルスが含まれるワクチンは以下の通りです。

  • バンガードプラス5/CV(ゾエティス・ジャパン)
  • バンガードプラス5/CV-L(ゾエティス・ジャパン)

犬コロナウイルスワクチンは新型肺炎を予防できるのか?

現在流通している犬コロナウイルスワクチンは、犬に胃腸炎を起こすコロナウイルスに対するものです。犬に胃腸炎を起こすコロナウイルスはアルファコロナウイルス属に属します。今回の新型肺炎を起こすものはベータコロナウイルス属に属します。明確に型が異なりますので、犬コロナウイルスワクチンが新型肺炎を予防できるかは不明です(1)。

猫コロナウイルス感染症

猫コロナウイルスには猫腸コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎ウイルスがあります。

獣医師が解説 | 猫伝染性腹膜炎(FIP)の診断、治療について 猫伝染性腹膜炎(FIP)は、発症するとほとんどが死に至る病気です。 FIPの診断は、症状や一般検査、遺伝子検査により総合的に行...

猫腸コロナウイルスは、軽度の腸炎を引き起こします。猫伝染性腹膜炎ウイルスは、発症した猫のほとんどが死亡する致死性の高い危険なウイルスです。猫腸コロナウイルスが猫の体内で突然変異を起こし、猫伝染性腹膜炎ウイルスになるとされていますが立証はされていません。

猫コロナウイルスワクチン

現在、日本には猫コロナウイルスワクチンは存在しません。

猫コロナウイルスはアルファコロナウイルス属に属します(1)ので、新型肺炎を引き起こすコロナウイルスとは型が異なります。

新型肺炎がネコからヒト(ヒトからネコ)に感染するのかは不明です(1)。

現時点で明確になっている情報をまとめました。参考になれば幸いです。

参考文献
(1)WSAVAによる新型コロナウイルスと伴侶動物についてのガイドライン

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