コロナウイルスPCR検査はコロナ以外のウイルス、細菌でも陽性になることがあると主張する人達がいます。
常識の有る人ならば信じるはずが無いと思い、今まで放置していました。
ところが知識人と呼ばれる人でも信じている人がいました。
Contents
小浜逸郎氏
【小浜逸郎】第2波は来たか
https://38news.jp/politics/16550
もう一つは、PCR検査は、何も新型コロナウイルスにだけ反応を示すのではなく、旧型コロナによるふつうの風邪、A型、B型インフルエンザ、アデノウイルス、クラミジア、マイコプラズマなどにも反応を示すそうです。
小浜氏の著書は何冊か読んだことがありましたので驚きました。
どうしてしまったのでしょうか?
PCR検査の原理
PCR検査の原理は以前記事にしました。
コロナ以外にも陽性になるのかを検証
プライマー
https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/2019-nCoV20200319.pdf
リアルタイムRT-PCRで用いられているプライマーの片方の配列は「CACATTGGCACCCGCAATC」です。
コロナウイルスの配列
コロナウイルスの配列は以下のサイトから取得できます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/labs/virus/vssi/#/
データを選んでダウンロードします。
ダウンロードしたファイルを「TeraPad」等のエディタソフトで開きます。
プライマー配列「CACATTGGCACCCGCAATC」を文字列検索してみます。
一致する配列が見つかりました。
コロナウイルスはRNAウイルスですので「CACATTGGCACCCGCAATC」の配列はcDNAが作られる時に「GTGTAACCGTGGGCGTTAG」となります。(A⇄T、G⇄Cとなります)
cDNAの「GTGTAACCGTGGGCGTTAG」の配列とプライマーが反応します。
インフルエンザ、旧型コロナはRNAウイルスですので同様に調べます。
A型インフルエンザ
同じようにプライマー配列「CACATTGGCACCCGCAATC」を文字列検索してみます。
左下に出ているように「CACATTGGCACCCGCAATC」は見つかりませんでした。
以下同じように調べてみます。
追記
文字列検索の途中に改行が含まれると上手く検索できない場合がありますので前半と後半に分けて検索する方が良いです。
前半「CACATTGGC」、後半「CCCGCAATC」
追記
A型インフルエンザはセグメントに分かれていますので1~8までをまとめてダウンロードし、追加で検証しました。
B型インフルエンザ
追記
前半「CACATTGGC」、後半「CCCGCAATC」に分けて検索しても結果は同様でした。
追記
B型インフルエンザはセグメントに分かれていますので1~8までをまとめてダウンロードし、追加で検証しました。
旧型コロナ
追記
前半「CACATTGGC」、後半「CCCGCAATC」に分けて検索しても結果は同様でした。
追記
完全配列でも追加検証しました。
日本のデータはありませんでしたので中国のデータになります。
アデノウイルス
アデノウイルスはDNAウイルスですのでプライマー配列と相補的な配列 「GTGTAACCGTGGGCGTTAG」を調べます。
追記
文字列検索の途中に改行が含まれると上手く検索できない場合がありますので前半と後半に分けて検索する方が良いです。
前半「GTGTAACCG」、後半「GGGCGTTAG」
クラミジア肺炎
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/15617929?report=fasta
Chlamydia pneumoniaeの遺伝子はDNAですのでプライマー配列と相補的な配列 「GTGTAACCGTGGGCGTTAG」を調べます。
リンク先で「GTGTAACCGTGGGCGTTAG」を文字列検索(Ctrl+F)してみます。
「GTGTAACCGTGGGCGTTAG」は見つかりませんでした。
追記
前半「GTGTAACCG」、後半「GGGCGTTAG」に分けて検索しても結果は同様でした。
(「GTGTAACCG」で検索すると一つは一致しますが次の文字がAですので不一致でした。)
マイコプラズマ肺炎
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/U00089.2?report=fasta
Mycoplasma pneumoniaeの遺伝子はDNAですのでプライマー配列と相補的な配列 「GTGTAACCGTGGGCGTTAG」を調べます。
リンク先で「GTGTAACCGTGGGCGTTAG」を文字列検索(Ctrl+F)してみます。
「GTGTAACCGTGGGCGTTAG」は見つかりませんでした。
追記
前半「GTGTAACCG」、後半「GGGCGTTAG」に分けて検索しても結果は同様でした。
(「GGGCGTTAG」で検索すると一つは一致しますが前の文字がTTですので不一致でした。)
これらのことからA型インフルエンザ、B型インフルエンザ、旧型コロナ、アデノ、クラミジア、マイコプラズマはコロナウイルスPCR検査のプライマー(フォワード)と反応することが無い事がわかりました。
補足
プライマーはもう一つありますのでもう一つのプライマー(リバース)とも反応する必要があります。
さらにPCR産物のサイズが異なる場合、異なる遺伝子であるとみなされますのでサイズも一致する必要があります。
リアルタイムRT-PCRで用いられているプライマーはもう1セットあります。
配列は「AAATTTTGGGGACCAGGAAC」、相補配列は「TTTAAAACCCCTGGTCCTTG」です。
これらについても同じ結果が得られました。
追記
文字列を検索する場合、途中で改行が入ると上手く検索できない場合がありますので文字列を前半と後半に分けて検索する方が良いです。
まとめると
コロナウイルスPCR検査はコロナ以外のウイルス、細菌でも陽性になることがあるというのはデマであるということをご理解頂けたかと思います。
これでもまだ疑われる方がいるようでしたら、ご自身で遺伝子配列を調べ確認されることをお勧めします。(当記事の方法で簡単に調べることができます)