コロナウイルス感染症

ゼロコロナ批判について考える

ウィズコロナではなく、ゼロコロナを目指すべきであるという主張に対する批判が見られます。
ゼロを目指すことは不可能であり、悪いことなのでしょうか?

根絶できる感染症とは

根絶できる感染症には 3 つの条件があると言われ、天然痘は見事にこれに当てはまっています。
①感染すれば必ず診断できる。肉眼的に明瞭な症状が必ず現れる。
②その感染症を引き起こす病原体の自然宿主はヒトに限られること。狂犬病のように多くの 動物が感染する感染症においては、根絶は困難である。
③効果的で良いワクチンが存在する。

新型コロナウイルスは、 ①無症状の患者が多く、しかも症状が無くても感染力がある。 ②もともとコウモリが持っていたウイルスが、ヒトに感染したのではないかと言われている。 ということで、残念ながら根絶できる感染症の条件には当てはまりません。
早期に良いワクチン・良い治療薬ができることを期待して、感染予防をしながら上手に付き合っていければと思います。

https://www.miyoshi-central-hospital.jp/img/box/1607994638.pdf
ICTニュース 2020年12月号

このように新型コロナウイルスは根絶することが不可能であるため、ゼロコロナは不可能であると主張する人がいます。

しかし、「地上から根絶できない=地域で排除不可能」ではありません。
日本でゼロコロナを目指すということは地上からの根絶を目指すことではなく、日本からの排除を目指すことです。
(エボラ、SARS、MERS等の危険な感染症は地上から根絶できていませんが日本から排除できています)

台湾、ニュージーランドではほとんどの期間で新型コロナの新規感染者ゼロです。
日本でも2021年2月25日には秋田、岩手、富山、長野、山梨、福井、和歌山、島根、鳥取、岡山、香川、高知、長崎、熊本、鹿児島で新規感染者ゼロです。
新規感染者ゼロの地域が増えれば最終的にゼロコロナになるので、ゼロを目標にすべきというのは、おかしな主張なのでしょうか?

台湾の経済成長率、約30年ぶりに中国超え

台湾の2020年の実質域内総生産(GDP、速報値)成長率は前年比2.98%となり、中国の2.3%成長を上回った。台湾の成長率が中国を上回るのは1991年以降約30年で初めて。新型コロナウイルス感染症の域内抑え込みが奏功し、輸出や投資などが伸びた。

https://www.nna.jp/news/show/2147290#:~:text=%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%81%AE2020%E5%B9%B4%E3%81%AE,%E7%B4%8430%E5%B9%B4%E3%81%A7%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6%E3%80%82
2021年2月1日 NNA ASIA

新型コロナを排除できれば、安心して経済活動が行えます。
何故ゼロを目指さないのでしょうか?

ゼロを目指しているもの

子宮頸がん

子宮頸がんワクチン、14カ国の調査で効果明らかに 撲滅の可能性も

多くの子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンが、各国で効果を上げているとする調査結果が明らかになった。子宮頸がんを撲滅できる希望もみえてきたという。

HPVワクチンの接種は10年ほど前から始まった。国際研究チームがこのほど、計6000万人を対象とした65件の研究を評価したところ、HPVの感染件数と前がん病変の発生件数が共に下がっていた。

これにより、向こう数十年で子宮頸がんの発症件数が大きく下がり、撲滅できる可能性もあるという。

https://www.bbc.com/japanese/48795883
2019年6月28日 BBC

HPVワクチンを推進している人達の最終目標は子宮頸がんの撲滅ではないのでしょうか?

麻疹

麻疹排除計画「風疹を同時に入れたのは大正解」【平成の医療史30年◆予防接種行政編】
確実につぶしていった麻疹 – 川崎市健康安全研究所所長・岡部信彦氏に聞く◆Vol.3

――麻疹(はしか)排除は日本の予防接種行政の成功例です。2007年に国の麻疹対策要項が策定され、2015年にWHO(世界保健機関)西太平洋事務局は日本を「麻疹排除国」と認定しました。

2000年前後には海外では麻疹の排除活動を進める国が多く、麻疹患者数が減少していく中、当時のわが国では日本は年間20~30万人の患者発生が推計され、渡航した日本人が現地で麻疹を発症して現地での感染拡大のきっかけとなったとして「麻疹も輸出する国」などと揶揄されたりしていました。「日本は途上国並み」「日本は何をやっているんだ」とも言われていました。僕はWHOのワクチン関連会議によく出ていたのですが、肩身が狭かったですね。



――それで今では完全にコントロールされるようになったのですね。

完全とは言えませんが、時間をかけることで、対策が浸透していったのが結果的には良かったと思います。今も時々輸入されたといってよい、海外で感染を受け国内で発症した麻疹患者をきっかけとした小規模のアウトブレイクは起こりますが、そこからの持続的な拡大は今のところない。そこそこの国土の広さがあって、これだけ人口が密集している国が麻疹排除を達成したということは、大いに胸を張って良いことだと思いますが、この状態を維持することにもまた努力と理解を得ることが必要です。

https://www.m3.com/news/iryoishin/658183
m3

新型コロナPCR検査拡充の妨害を続ける岡部氏はゼロ麻疹に尽力しています。
ウィズ麻疹ではありません。

岡部信彦氏のPCR検査論を検証 川崎市健康安全研究所所長で新型コロナウイルス感染症専門家分科会にも参加している岡部氏のインタビューがBuzzfeedに掲載されています...

風疹

2021年“風疹ゼロ”プロジェクト宣言!! ― 毎年2月4日は風疹の日 !! ―

■40~50代の男性に強く訴えます!
■風疹抗体検査・第5期風疹定期接種のクーポン券を受け取ったすべての方へ
まだ80%以上の人が検査を受けていません
 〇風疹をゼロにするために検査を受けてください 
 〇また職場等で周囲の方が検査を受けられるよう配慮してください
■風疹抗体検査,予防接種(MRワクチン)が
 〇特にこの世代に実施されるよう皆さんの行動を求めます
■新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が大きな話題となっていますが、わが国では
 〇2019年から妊婦への風疹罹患のリスクをなくすための大切な対策が続いています

http://www.jaog.or.jp/rubella/
2021年2月2日 日本産婦人科学会

風疹をゼロにするための検査が推奨されています。
ウィズ風疹ではありません。

ポリオ

世界的なポリオ根絶に向けた対応について

急性灰白髄炎(以下「ポリオ」という。)については、1988(昭和63)年5月の世界保健総会における決議に基づき、世界保健機関(以下「WHO」という。)によるポリオ根絶に向けた取組(世界ポリオ根絶計画 Global Polio Eradication Initiative (GPEI))が推進されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/polio/index_00001.html
厚生労働省

目標はゼロポリオであり、ウィズポリオではありません。

ゼロコロナ批判について

実現可能かどうかは別としてゼロを目標としていることは世の中には多数あります。
そのことに対してゼロは不可能であると主張してわざわざ反対する人はほとんどいないと思います。

ところが新型コロナをゼロにするという目標に対しては異常なほど批判を行う人達がいます。
(子宮頸がん 、麻疹、風疹、ポリオの撲滅にも反対なのでしょうか?)

ゼロコロナを不可能と考えるのは自由です。
ゼロコロナを達成するために国民に過度な負担を強いるのであれば、その点は批判すべきであると考えます。

具体的な感染対策批判を行うのではなく、ゼロコロナは不可能であるとだけ主張するのは単なる冷笑主義であり、声高に主張するのは野暮です。

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