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加計学園・獣医学部「四国枠」合格者ゼロ 志願者3年間で16人というニュースを見て

家計学園獣医学部新設の問題点として、学部を新設しても小動物臨床分野への獣医師の偏りは解消されないのではないかという意見を書きました。

家計学園問題について。獣医師が考える獣医学部新設の問題点 2017年安部内閣により国家戦略特別区域に指定された今治市に岡山理科大学獣医学部が新設されました。 この時、今治市ありきでの獣医...

今回、家計学園四国枠での合格者がゼロという報道がありましたので、まとめます。

家計学園の四国枠入試特待生

四国枠入試特待生とは

  1. 年間100万円の授業料を6年間猶予
  2. 四国で5年間継続勤務することで猶予期間中の支払い相当額は全額免除

となっています。

出願条件は

  1. 四国四県内の高等学校を卒業見込みの者
  2. 書類提出日から遡って1年以上四国四県内に在住している者

等となっています。

「四国枠」合格者ゼロ 志願者3年間で16人

大学によると、四国枠の志願者は18年度入試6人(うち特別推薦4人)、19年度6人(同4人)、20年度は4人(同0人)だった。12日までの入試判定の結果、20年度の合格者はいなかった。

岡山理科大獣医学部獣医学科の20年度志願者(1月公表分)は一般入試前期2方式で26・8倍(前年同期20・4倍)、センター試験利用で28・4倍(同14・9倍)と競争率が過去最高となるなど、志願者自体は増えている。

                        毎日新聞 2020年2月14日

志願者自体は増えていますが四国枠の志願者はほとんどいません。 その理由の一つは高額な学費と考えられます。

獣医学部の1年間に必要な学費は次のようになっています。

入学金22万円。授業料150万円、実験実習費28万円(2年次以降は、43万6千円)、施設設備費は50万円。合計で250万円(2年次以降は、243万6千円)

年間100万円免除されたとしても毎年年間143万円は必要となります。(国公立大では年間50万円程度です)

四国枠の条件には、公務員でなければならないという条件はありません。小動物臨床獣医師として四国で働いても良いのです。しかし、高額な学費を払ってまで家計学園を卒業し、四国で獣医師として働きたいという学生がほとんどいないというのが実情でしょう。

志願者自体が増えているのは、学費を払う余裕はあるが、学力がやや不足している学生が殺到しているからでしょう。こういう学生は公務員にはならないと思います。

学費を払う余裕は無いが、獣医師になりたい四国の学生は山口大、鳥取大、大阪府立大あたりを志望しているのだと思います。

開学までに色々議論がありましたので、四国の優秀な学生は家計学園を避けているということも考えられます。

今後の見通し

家計学園の卒業生が社会に出て、社会から評価されるようであれば、少しは変化が出てくるかもしれません。しかし、一期生が卒業して、しばらくするまでは、四国枠の志望者は増えることはないでしょう。

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