コロナウイルス感染症

世田谷区のコロナウイルスPCR検査について

世田谷区の保坂区長は「いつでも、誰でも、何度でも」検査を受けることができるように検査体制の整備を続けています。
世田谷区のコロナウイルスPCR検査について調べてみました。

世田谷モデル

保坂区長が提唱する世田谷モデルは次のようになっています。

  1. 区内の検査能力を1日2,000~3,000件まで増やす
  2. 自動検査機を導入
  3. プール方式を採用
  4. 社会機能の維持に必要な人達(医療、介護、保育関係者)に対する定期検査を行う

https://www.tokyo-np.co.jp/article/46562

介護施設の定期検査の必要性

介護施設のクラスター事例

5月29日 

医療・介護・障害福祉で相次ぐ大規模クラスター

厚生労働省の調べによると、5月28日時点でのCOVID-19感染者は1万6683例。医療・介護・障害福祉の従事者の陽性者(1400人)が占める割合は約8.4%となる。また院内感染・施設内感染と思われる患者・利用者等(1660人)の占める割合は約10.0%。従業者と患者・利用者等の合計(3060人)は全体の約18.3%である。つまり、国内のCOVID-19の全感染者の6分の1以上が医療・介護・障害福祉セクターで生じているとみられる。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/clinic/report/202005/565469.html

7月20日

介護施設で相次ぐクラスター コロナ感染の経緯は?課題は?

厚生労働省によりますと第一波の時も含めてこれまで少なくとも全国47の介護施設で集団感染が報告されています。高齢者は重症化するリスクが高いだけに厚生労働省は介護施設に対し、「感染者が出た場合にどのような対応を取るのか十分に確認して備えを進めてほしい」と呼びかけています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200720/k10012524581000.html

発生の経緯は?

特別養護老人ホーム「松戸陽だまり館」は、今月11日までに入所者2人、職員3人の合わせて5人の感染が確認され、千葉県はクラスターが発生したと公表しています。第一波のあと各施設が警戒を強める中、どのようにして感染は広がったのか。

施設を運営する社会福祉法人によりますと、最初に感染が確認されたのは6月29日、30代の男性職員でした。感染経路は不明で、市中で感染したのではないかとみられています。

その2日後(7月1日)に、男性職員と一緒に利用者の入浴介助などを行っていた別の職員と、この職員が勤務していたフロアにいる90代の入所者の女性の合わせて2人の感染が確認されました。

施設は、入所者のいるフロアを感染のリスクが高い「レッドゾーン」と位置づけ、入所者がほかのフロアの人と接触することを防ぎ、職員にはガウンやゴーグルなど防護具の着用を徹底させるなどして感染拡大の防止を図りました。

その結果、別のフロアから感染者は出ませんでしたが、今月6日には同じフロアに入居する80代の女性、10日にはこのフロアに応援に入っていた男性職員の感染が確認されました。

感染が確認された5人のうち職員3人はすでに全員退院し、入所者2人は今も入院していますが、症状が重い人はいないということです。

施設を運営する社会福祉法人の木村哲之本部長は「施設にウイルスを持ち込まないよう職員も相当気を付けながら生活を送っていたが、突然にすっとコロナウイルスが足元に忍び寄ってきた感覚だった。施設で感染が拡大しないよう早い段階でゾーニングを行うなどできるかぎりの対策を実施した」と話しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200720/k10012524581000.html

施設としてはできる限りの努力をしているように見えます。

1 全員のPCR検査が認められない

その1つは「検査」です。最初に男性職員の感染が明らかになった時、施設は保健所に対し、入所者や職員の全員などおよそ160人にPCR検査を実施してほしいと要請しました。

しかし保健所が行政検査の対象としたのは男性職員が担当するフロアの入所者や職員などのおよそ40人でした。

これに対し、検査の対象に含まれなかった職員などからは不安の声があがりました。中には、同居する家族に高齢者がいて、帰宅せずに廊下に設置したベッドや車の中で寝泊まりする職員もいたといいます。

その後、施設は市や医師会が開設した検査センターと交渉し、ようやく全員の検査が実現しましたが、最初の感染者が確認されてから2週間がたっていました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200720/k10012524581000.html

7月の段階でもこのような検査状況です。
PCR検査抑制論により、介護施設の職員、入所者が危険に晒されている様子がよくわかります。

2 すぐに入院させられない

もう一つ大きな課題となったのが、「感染者を即座に入院させられないこと」でした。

今月1日、施設で3人目となる90代の入所者の女性の感染が確認された際、受け入れ先の病院がすぐには決まらず、女性は一晩、施設内で過ごさざるをえませんでした。保健所が調整を進めたほか、施設も近隣の病院に受け入れを依頼しましたが、すぐには見つからなかったということです。

施設は急きょ、夜勤の職員を増やして対応にあたりました。

すぐに入院させられなかったことで、感染が広がったかどうかはわかっていませんが、施設側は高齢者は重症化のリスクも高いので、できるだけ早く入院させてほしいと訴えています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200720/k10012524581000.html

日本では重症化リスクの高い人達を即座に入院させるシステム作りがされている様子はありません。

9月14日

クラスター拡大し20人に…新型コロナ 三重で老人介護施設の入所者3人に感染確認

三重県では13日、新たに3人に新型コロナウイルスの感染が明らかになりました。

感染が確認されたのは80代の男女3人で、いずれもクラスターに認定されている鈴鹿市の老人介護施設の入所者です。

10日に80代の入所者の男性に発熱の症状が出たため、施設全体でPCR検査を行ったところ12日、3人の感染が確認されたということです。

これで、この老人介護施設に関連する感染者は、職員1人と入所者19人のあわせて20人となりました。

https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20200914_140217

9月15日

尼崎の介護施設でクラスター発生 職員と利用者11人が新型コロナ感染

兵庫県尼崎市は15日、同市内の介護施設で、職員と利用者計11人が新型コロナウイルスに感染し、クラスター(感染者集団)が発生したと発表した。同市内でクラスターが発生するのは初めて。いずれも軽症か無症状という。

同市によると、同施設では52人が通所介護サービスを利用し、12人の職員が勤務していた。9日に50代女性職員、10日には40代女性職員が陽性となったことを受け、接触があった職員と利用者にPCR検査をした結果、70~80代の利用者6人と30~40代の職員3人の陽性が確認された。

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202009/0013697422.shtml

10月16日

東京の感染者284人 介護施設などでクラスター

284人を感染経路別に見ると、施設内での感染が39人で最も多く、次いで家庭内が34人でした。これまで3人の感染が確認されていた大田区の「デイサービスセンター徳持南」では利用者ら11人の感染が確認されました。また、患者ら47人の感染が確認されていた足立区の大内病院でも新たに4人の感染が確認されるなど重症化につながりやすい病院や介護施設での集団感染が相次いでいます。

https://news.yahoo.co.jp/articles/809b0f4d424f32055b228b27aa02146ade8bbd78

介護施設の定期検査の有用性

PCR検査抑制論者の村中璃子氏がよく引用するインペリアルカレッジのレポートです。

ヘルスケアおよびケアホームスタッフでの毎週のCOVID-19検査は広がりを減らすかもしれません

症状のある個人の検査に加えて定期的なスクリーニングにより、病院での感染への寄与の25〜33%がさらに防止される可能性がある、ヘルスケアやケアホームのスタッフなどのリスクの高いグループを対象とする場合、検査が最も有用であることがわかります。

https://www.imperial.ac.uk/news/197074/weekly-covid-19-testing-healthcare-care-home/ (翻訳です)

上記の7月20日の記事でもわかるように施設の感染対策だけでクラスター発生を防止するのは難しいです。
クラスターが発生しやすい施設での定期検査は必要です。

世田谷区の定期検査

世田谷モデルの実施にあたり、具体的な運用方法が公開されています。

定期検査は介護事業所の職員、障害者施設の職員、一時保護所・児童養護施設等・保育園・幼稚園の職員等で希望する方を対象とするようです。

第1段階の検査件数は2,000件、予算は4,000万円
第2段階以降の検査件数は21,000件、予算は約3億7,000万円

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/003/005/006/011/d00188032.html

定期検査の結果

<新型コロナ>世田谷区 無症状者、陽性率0.74% 介護施設の職員ら検査

世田谷区は15日、新型コロナ対策として無症状の介護施設職員らに集団で行う検査を区内17施設で計271人に実施し、2人の感染が判明、陽性率は0.74%だったと発表した。

区は当初、一つの試験管に数人分の検体を入れる「プール方式」のPCR検査で行う予定だった。しかし、今回の検査が法に基づき国が費用負担する行政検査の対象となった。国は行政検査へのプール方式の採用を認めていないため、一人一検体の従来の検査法で実施している。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/62171

プール方式は国の反対で採用できなかったようです。
行政検査の対象となり、費用は国が負担するようです。

行政検査の対象

新型コロナウイルス感染症に係る行政検査に関するQ&Aについて (その2)

https://www.mhlw.go.jp/content/000660520.pdf

このように今回、世田谷区が行った社会的検査(第1段階、介護施設)は行政検査として認められています。

韓国での一斉検査

韓国、新型コロナの再拡大に赤信号…首都圏高齢者・精神病院従事者16万人調査

新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)感染者が続出した釜山北区万徳洞(プサン・ブック・マンドクトン)のある療養病院で職員と患者53人が感染した。この中で1人は亡くなってから陽性判定を受けた。



この療養病院では9月以来8人の感染者が亡くなり、この中で7人は呼吸困難と肺炎症状があったことが分かった。保健当局は死亡原因が単なる肺炎なのか、新型肺炎による肺炎症状なのかなどを確認していると明らかにした。

調査結果、この療養病院の患者半分程度が認知症を病んでいてマスク着用が難しかったことが分かった。医療スタッフが感染者の症状を適時に認知できず職員・患者の間で集団感染が起きたとみている。しかし、保健当局は3月から療養病院で対面面会が禁止された点から推測して看護補助者など出退勤する職員から最初感染が起きた可能性を調査中だ。

釜山市保健当局は「潜伏期間が進んでいるうえに、患者間接触にともなう交差感染の可能性があって感染者がさらに発生する可能性がある。周期的に検査する予定」とした。同時に、釜山市は万徳洞にある療養病院・療養院9カ所を含んで管内療養病院168カ所と高齢者療養施設115カ所、デイケア・ナイトケア施設201カ所に対する全数検査に入った。

中央防疫対策本部もこの日、記者会見で「感染高危険群に対する精密防疫を強化するためにソウル京畿仁川(キョンギ・インチョン)など首都圏地域の高齢者・精神病院従事者と高齢者デイケア施設の利用者16万人を対象に先制的な全数検査を行う計画」と明らかにした。全数検査は今月中旬から始めて約1週間程度かかる予定だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/41320a65b2f0a4d9f459f1829e1a05b6d6cea959

韓国では1週間程度で16万人を検査するようです。
PCR検査抑制論が蔓延している日本とは対照的です。

PCR検査抑制論のなれの果て。
日本がいろいろな意味で貧しくなったことを表すようなツイートです。

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