私がコロナ禍で最も不思議であると考えるのは次のような主張です。
たがやさんの言うようにPCR検査の是非に自らの思想、信条が影響を与えたり、与えると考えることは本来おかしいのです。
PCR検査の是非は科学的に検証されるべきことであり、保守も革新も関係ありません。
(PCR検査の是非をいつまでも議論し続けているのは世界中で日本くらいでしょうが)
どうやら保守と呼ばれる人達の中にPCR拡充賛成=革新(左翼)、PCR拡充反対=保守(右翼)とインプットされているような人達が一定数いるようです。
彼らの主張を見てみます。
Contents
PCR拡充訴えると左翼?
「コロナで大学軽視浮き彫り」 新著出版の山梨大・島田真路学長に聞く
--PCR検査の拡充を主張してきましたが、ネット上では拡充論は左翼扱いされる傾向もあります「驚きますね。医療の問題に右も左もありません。大学病院として国民の命と健康を守ることを使命としているだけです。今までの発言を見てもらえば分かる通り、私は全然、左ではないですよ」
https://www.sankei.com/premium/news/201027/prm2010270002-n1.html
2020年10月27日 産経新聞
産経新聞がこのような記事を載せているのは評価できます。
PCR検査拡充の議論に右も左も無いのは当然のことです。
東京都医師会会長の兄は元「革命左派」?
引用されている記事は次のものです。
コロナで脚光、東京都医師会会長の兄は元「革命左派」 弟に送る言葉
「コロナに夏休みはない。国会を開き、国がすべきことを国民に示し、国民、都民を安心させてほしい」。東京都医師会の尾崎治夫会長(68)がこう訴えたのは先月のこと。会見はSNSなどで拡散され、喝采を浴びている。そんな会長に、医療関係者から「政権に平気で噛みつくあの過激さは兄上の影響?」との声が……。
近ごろすっかり安倍総理の影が薄くなってしまった。だから、「コロナに夏休みはない」と力強く主張する尾崎会長に疫病を過度に恐れる大衆の期待が寄せられるのも当然か。なにしろ、ドタバタ発進で「Go To」を推進する安倍政権にも、「経済活動を進めるのは結構だが、感染は抑えるメリハリの利いた施策が必要」
と、ビシッとクギを刺す。そんな姿勢を見て、医療関係者が言うのだ。
「尾崎会長には過激派だった兄上がいるんだって。赤旗日曜版にまで出ているのは兄上の影響かな」
その兄の名前は、たしかに新聞紙上にあった。
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/08280556/?all=1
2020年8月27日 デイリー新潮
新潮は一貫して「コロナはただの風邪」というスタンスです。
「兄が元「革命左派」」→「弟も左翼」→「東京都医師会は左翼」→「左翼がPCR拡充」という謎理論のようです。
こんな低次元の記事に影響を受ける人がいるのも事実です。
左翼は安部批判のために資本家に利用された?
世田谷モデルに竹中氏以外が全員反対という凄い状況になっています。
このような番組が受け入れられる大阪は新型コロナ対策に大失敗しています。
日本は資本主義国家ですのでPCR検査により利益を得る人がいてもおかしなことではありません。
重要なのは感染対策に寄与するかどうかです。
コロナウイルス抗原検査やコロナワクチンも同様です。
感染対策に寄与しないにもかかわらず、非科学的に推奨するようでしたら利権という批判は免れません。
不思議なことに大量検査で偽陽性が大量に出る恐れがあるコロナウイルス抗原検査に関しては利権という批判をほとんど聞きません。
何故なのでしょう?
PCR検査に関して暴言を吐いていた仲田氏は黒瀬氏のツイートに次のように返信しています。
「基本的には全員感染していると考えて行動する」というのはエアロゾル感染を起こし、無症状感染者が多数存在する新型コロナで可能なのでしょうか?
標準予防策を講じているはずの病院でも院内感染が多発している現状をどのように考えるのでしょうか?
国民の敵はPCR増やせと煽り続ける左翼?
jinpeiishi氏の肩書は医師となっています。
仲田氏もそうですが、ここまで思想が偏っている人は危険です。
PCR検査拡大で感染者が増え、医療危機?
「PCR検査拡大→感染者増→医療危機」という謎理論です。
確かにPCR検査を減らせば、数字上の感染者は減ります。(市中で無症状感染者が感染を拡大させ、結果的に感染拡大につながりますが)
同じようなことを主張していた人がいました。
トランプ氏は、Covid-19の症例数が増加しているため、行政当局に「テストを遅くする」ように言ったと述べています
https://edition.cnn.com/webview/politics/live-news/trump-rally-tulsa-oklahoma/h_14069470d190ae4a4a9d3f7c11186235
トランプ大統領は、Covid-19の検査を「両刃の剣」と呼び、検査の増加はコロナウイルスの症例の増加につながるため、彼の政権の当局者に「検査を遅くする」ように言ったと述べた。
略
週の初めに、トランプはテストを「過大評価」と呼び、ウォールストリートジャーナルとのインタビューで国が悪く見えると述べた。
トランプ氏が今夜の集会でコメントした後、行政当局者は、コロナウイルス検査の減速を求めたと述べたとき、大統領は「明らかに冗談だ」とCNNに語った。
「彼は明らかに冗談でした。私たちはテストで世界をリードしており、2500万以上のテストを実施しました」と当局者はCNNに語った。
2020年6月2日 CNN
トランプ氏「コロナ検査件数、削減を指示」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60611710R20C20A6FF8000
トランプ米大統領は20日に南部オクラホマ州タルサで開いた選挙集会で、新型コロナウイルスの検査件数を減らすよう指示していたことを明らかにした。「検査をたくさんすると、それだけ感染者も多く判明する。もろ刃の剣だ」と説明。「だから私は『検査のペースを落とせ』と言ったんだ」と語った。
経済再開を急ぐトランプ氏は感染者数をなんとか減らしたいとの思いがある。検査の数を減らせば統計上の感染者数が減る可能性があるが、無自覚の感染者が感染を広げる可能性もある。米メディアによると、ホワイトハウス高官は集会後に「明らかに冗談だ」と釈明したという。
2020年6月21日 日経新聞
PCR検査は意味ない?
欧米並みに感染が拡大してしまうとPCR検査体制拡充の有効性は低下します。
PCR検査はあくまでも感染対策の一つの手段に過ぎず、PCR検査だけを行っていれば良いというわけではありません。
sunaさんの主張するように「PCR検査増は感染収束のための十分条件ではなく、必要条件」です。
欧米を例に出し、検査を増やしても意味が無いという主張は筋が通りません。
左翼の主張を実現した県?
「左翼の主張」=「PCR検査増」であれば「左翼の主張を実現した県」=「和歌山県や鳥取県」です。
陽性者数 | 検査数 | 検査数/陽性者数 | 陽性率 | |
鳥取県 | 186 | 31,666 | 170.2 | 0.587% |
和歌山県 | 965 | 20,003 | 20.7 | 4.82% |
沖縄県 | 6,862 | 115,456 | 16.8 | 5.94% |
東京都 | 91,834 | 1,232,156 | 13.4 | 7.45% |
神奈川県 | 36,953 | 455,639 | 12.3 | 8.11% |
大阪府 | 40,508 | 595,898 | 14.7 | 6.80% |
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/ (2021年1月22日)
検査数/陽性者数を見ることで1人の陽性者を発見するためにどれだけ多くの検査をしているかがわかります。(陽性率の低さで見ても良いです)
鳥取県や和歌山県は充分に検査を行い、医療崩壊は起きていません。
(人口密度が小さいということもあります)
鳥取県の平井知事や和歌山県の仁坂知事が左翼であると主張する人はいないと思います。
「PCR検査を増やすと医療崩壊」というデマの影響も大きいようです。
コロナは絶滅させる必要が無い?
新型コロナを絶滅させる必要も無いそうです。
後遺症が残り、致死率が高いウイルスと共存したいという気持ちがイマイチ理解できません。
こういう考えは最終的には小林氏のようになる恐れがあります。
「コロナ君をいじめるな」とまで言い出しました。
「新型コロナの命(ウイルスは生命体ではないですが) > 人命」という考えになっています。
見習おう?
台湾を見習ってくれるのでしたら全く問題ありません。
右翼の方は是非そのようにして下さい。
台湾を見習いゼロコロナを目指しましょう。
大紀元
新型コロナ第一波を総括する
https://www.epochtimes.jp/p/2020/05/57044.html
テレビでコメンテーターとして登場したのは、学会から干された非主流派の医師や、そもそも医療関係の資格をもたない自称専門家であった。彼らは、口を揃えて盛んにPCR検査拡充を主張した。その無責任な意見に従わなかったことが、医療現場の混乱を防いで日本の成功をもたらした要因の一つになっている。
今回の新型コロナウイルス問題における社会背景で、東日本大震災のときと最も違うのは、SNSが普及していたことである。もちろん、9年前もツイッターは使われ始めており、物理学を専門とする東京大学の早野龍五教授(当時)が、放射能に関する情報を積極的に発信し、風評被害が広がるのを防ぐのに貢献した。しかし、当時ツイッターで情報発信をしている専門家はごく少数であった。私自身、当時からツイッターアカウントは持っていたが、読むのが専門(いわゆるROM)で自分から情報発信は全くしていなかった。
しかし、今は多くの専門家がSNSで自ら情報発信をしている。ツイッターでは新型コロナウイルス感染症対策専門家会議にも出席している今村顕史医師や西浦博医師が積極的に情報発信をしていた。また、ツイッターでフォロワーを多く抱える影響力の大きい医師たちも、専門の医師たちを援護射撃した。EARLの医学ツイートや救急医Taka(木下喬弘医師)、峰宗太郎医師はその代表例である。また、これまではフォロワーが少なかったが、この援護射撃に加わってフォロワー数を伸ばした仲田洋美医師や萩野昇医師などもいる。
PCR検査拡充の弊害は、そもそも陽性と分かっても治療法がないこと、偽陽性や偽陰性などの検査精度の問題があることによるもので、上述の医師たちはこれらの論点を丁寧に説明していた。偽陽性・偽陰性がもたらす弊害は、ベイズの定理と呼ばれる理論で説明できる話で、私も大学のパターン認識の講義でいつも話す内容なので、それを素人にも分かりやすく説明する動画を作って微力ながら援護射撃に加わらせていただいた。
2020年5月25日 大紀元
大紀元というサイトに掲載された掛谷英紀氏のトンデモ記事です。
大紀元は中国の法輪功の関係者が中心となり、中国共産党批判とトランプ支持を明確に打ち出しています。
ここでもベイズの定理を用いたデマが利用されています。
上念司氏
上念氏は保守系言論人ですが保守論壇から干されてしまったようです。
このような状況を見ると干されたくないので、保守系知識人は非科学的主張を繰り返すのかもしれません。
しかし、新型コロナに関する言説は生命にかかわりますので自らの保身のためにいい加減な主張を行うことは許されることではありません。
私は元々は保守思想の持ち主でした。
選挙では自民党以外には投票したことがありません。(今後はわかりませんが)
学生の頃は「正論」や「諸君」を読んでいました。(もはや黒歴史になりそうです)
勤務医の頃から忙しくなり、そのような書籍を読む機会は無くなりました。
私はネトウヨではなく、自己責任論には大きな違和感を持っており、現在の保守は昔の保守とは大きく異なっていると考えます。(昔の保守は人命軽視とも取れるような主張はあまり行っていなかったと思います。ネトウヨやネオリベに傾倒するような保守は人命軽視とも取れる主張に違和感は無いのかもしれませんが)
トンデモない主張を平気で行う保守だらけですので、まともな保守は絶滅してしまったようですね。